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『映画』や『アニメ』、『読書』や『美術館』などの思い出を残すために始めたブログです。完全に個人用なので読みにくかったらスイマセン!

【映画】『1917 命をかけた伝令』:俯瞰せぬ全編ワンカットで描くWWⅠ塹壕戦の追体験。

 

 

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 こんにちは!

 久々の映画館です。
 どれくらい「久々」かというと、最後に観たのが2019年12月20日の『SW』だったので、かれこれ丁度80日ぶりになります。

 やっぱり最高ですよ、映画館。
 映画を大画面で観られるし、暗闇でひとり作品に向き合う時間の”体験”も好き。それに「作品選んで予約して、映画館で発券して、諸々のルーティンを済ませて席に座って、予告編を観て、いざ本編」という細かい所作1つ1つが好きです!

 前置きが長くなりました。
 2020年の最初に 観た作品は『1917』です!
 映画館で観るべき作品だとは思っていたけど、まさしく!

『1917』映画館の写真

映画館にて。

 


 

2020年3月9日鑑賞

1917 命をかけた伝令
1917

『1917 命をかけた伝令』ポスター

『1917 命をかけた伝令』

【評価:3.8/5.0】

 
【一言】

噂の「全編ワンショット」が凄い!
【絶対に俯瞰しない】という強さ。
泥と死体と鼠が巣食う塹壕の惨状を横目に、
主人公が常に中央の構図が印象的。
ただ、音楽がとても邪魔で勿体ない...。
物語も脚色しすぎな気がした。

 
【Twitter140文字感想】

 

 


 

 

【目次】

 

 

STORY&STAFF

 

第一次世界大戦真っ只中の1917年のある朝、若き...[中略]...兵士のスコフィールドとブレイクにひとつの重要な任務が命じられる。それは一触即発の最前線にいる1600人の味方に、明朝までに作戦中止の命令を届けること。
...[中略]...
戦場を駆け抜け、この伝令が間に合わなければ、...[中略]...味方兵士全員が命を落とし、...[中略]...戦いに敗北することになる―──
刻々とタイムリミットが迫る中、2人の危険かつ困難なミッションが始まる・・・。
映画公式サイト

予告動画

 

 

監督:サム・メンデス
脚本:サム・メンデス
制作:ドリームワークス
音楽:トーマス・ニューマン
キャスト:ジョージ・マッケイ, ディーン=チャールズ・チャップマン and more.
上映時間:119分
日本公開:2020年2月14日
配給:東宝東和
公式サイト

 

 

 


 

 

 

映画の感想概要

 

 舞台は第一次世界大戦の1917年。
 独軍の撤退を契機と、一斉攻撃を計画する友軍。それが独軍の罠と判明し、攻撃中止命令を前線へ届ける任務を負った2人の伝令の物語です。

『1917』画像(予告編より)



 驚異の「全編ワンショット」。

 これは確かに凄かったです!
 狭い塹壕を走り、広い荒野を歩き、休んだり、敵兵と戦ったりと、気の休まる暇のない戦場の1日をワンカット(に見えるよう)に撮影された本作。

 本当にシームレスで、場面転換や時間経過の感覚はおろか、映画を観ている感覚すらも薄れていく感じ。「没入」というか、「追体験」という印象でした!

ワンカットを体感せよ!3分半超えの本編映像




 特に印象的だったのは「絶対に俯瞰しない」こと。
 とにかく、観客に与えられる情報が限られていたな、と。

 「映画の視点」は基本的に主人公の目線の高さ。
 だから、観客にとっては何も分からない。塹壕の外の景色も、戦況の優劣も。

 位置的にも、情報的にも俯瞰しない映画。
 だから、より”戦場のいち兵士”というような、実際に戦場に居るような感覚に陥ったのかな、と思います。



 戦場を本当に見事に再現しているな、と。

 塹壕の描写が凄かったです。
 満身創痍で疲労困憊した兵士が重たい身体を横にし、そばには死体とネズミ。泥まみれの中を歩いていく主人公。

 不衛生な状況、気が滅入りそうな戦場の状況が、視界の端にずっと映し出されて、とてもいい舞台設計だな、と思いました。

『1917』画像(予告編より)




 悲惨な戦場に対して、人間の温かさも。

 2人の伝令は互いに助け合いながら歩き、時にはジョークを交わしたりしながら進みます。仲間も応援してくれ、また非戦闘員の女性や赤子との会話もとても優しかったし、自然の景色も良いものでした。

 戦争映画って鬼上官や胸糞兵とかがたくさん居る中で、この映画では(いい意味でも悪い意味でも)いい人ばかりだった気がします。

『1917』画像(予告編より)




 ただ、「物語」と「音楽」は微妙。

 「物語」の方は、映画としての誇張や脚色が多すぎたと感じました。所々にハラハラ・ドキドキの見せ場があって、むしろアクション映画に近い感覚になった点が残念でした(そもそも実話ではなくフィクションですけど)。

 それから「音楽」の方は、BGMが邪魔でした。ワンカットの映像が素晴らしいだけに、下手にBGMをつけることで没入感が削がれてしまったな、と。無音声とか、効果音のみの方がこの映画に似合っていたのではないかなーと思いました。

 

 

 

 

 

映画の感想内容

 

全編ワンショット(風)

 

 触れ込みの「全編ワンショット」

 本当に凄い!
 実際には、当然いくつものカットを繋ぎ合わせているわけですが、その継ぎ目が全く分からないし、意識をしなければ本当に何も感じないほど。

 これは、一度は観ておく価値ありだと思います!

『1917』画像(予告編より)




 「映像作品 ≒ カット」なイメージ。

 時間や場面を分ける手法。

 小説では章や節で区切ることで、場面転換や時間経過を読者に示します。ゲームならロードだし、演劇なら幕。

 で、映像作品はカット。
 映画でもTVドラマでもアニメでも、基本的には場面転換はカットが変わることで描いています。多すぎると煩わしいし、でも観ている上では指標のひとつになっていたりします。(マイケル・ベイはやり過ぎ? 笑)



 でも、本作はその「カット」が無し。

 映画の始まりから終わりまでひとつだけで、移動も時間の変化もカット切り替えはなく、背景が示すのみ。これって、すごいこと。
 撮影するのも大変だし、動線を考えたり、音声を撮ったりと、作品を作り上げる過程が本当に大変だろうな、と。

 だから、そもそも「映画を観ている感覚」ではなかったな、と振り返ります。キャッチコピーの「没入」とは少し違う感じで、主人公を「追体験」している感じ。一緒に戦場を走っているような。

異次元の没入感はこうして出来上がった!




 本当にシームレス。

 今まで「カット」を頼りに観てきた部分あるから、本作を観ていると、「あれ、いつの間にか夕方?」とか、「今、どこだっけ?」とかって、ふと気づくことがあって、それが新しい体験でした。



 あと、あまりCGも使ってない?

 最近の映画は、エンドロールに長々と「CG」や「VFX」の担当チームが流れますけど、この『1917』では全然いなかったので。

 

 

 

 

戦場を俯瞰しない

  

 「全編ワンショット」に加えて、もう一つ印象的だったのが、「絶対に俯瞰しない」という映画の構成、映像の撮り方でした。

 「映画の視点」は主人公の目線。
 だから、観客にとっては「何も分からない」という状況。



 映像。
 基本的には主人公の目線の高さでずっと映し出され、加えてそれは最初からワンカットで構成された映像になっています。

 だから、主人公の目に映らないものは、観客にも知らされません。
 塹壕の外がどうなっているのか、稜線の向こうの状況はどうか、遠くに見えるのは敵か味方か、道の先に何が待ち構えているか。

 映画って、カットを切り替えながら、上空からの映像を挿入したり、遠くから望遠したりするじゃないですか。
 でも、この作品では上空から俯瞰はしないし、そもそもカメラと主人公の距離が1遠く離れることがほぼ皆無、という作品です。

本編映像 "戦場を駆ける若き兵士たちの安息のひと時"




 そして、情報。
 戦場での明暗を分ける情報も、俯瞰されません。

 戦況の優劣も、戦場の地図や地形も。さらには今いる現在地や、目的地までの距離、タイムリミットまでの時間、方角も観客には知らされず。
 そもそも主人公の国籍がどこなのかも、序盤では不明確です(考えれば分かるけど)。

 戦争映画だと参謀本部の地図を映したり、『インディ・ジョーンズ』のような探検映画では古地図を映したりして、観客に状況を伝えますけど、本作ではそれが無いんですよね。
 私は「情報大好き人間」なので、その辺が少しモヤモヤしてました。でも逆に、それが実際の現場で戦う兵隊の状況に似ているのかなーなんて思います。



 映画の序盤で分かるのは、このくらい。

・舞台:1917年=第一次世界大戦
・敵:ドイツ軍
・目的:友軍への攻撃中止命令の伝達
・期限:明日の夜明けまで

 本当に情報が少ない。
 だからこそ、特定の戦いや主人公を描いた作品ではなく、「戦争一般」の恐怖とか矛盾とかを普遍的に描ける、どんな戦いでも、国籍でも応用できる映画なのかな、とも感じました。




 あと、「主人公が常に画面の中央」です。

 まるでジャイロセンサーでも搭載しているかのように、激しい場面でも常に主人公が中央にくるように撮影され、ピントも主人公に焦点を当てています。

 だから、周囲の状況がなかなか分からないです。
 しっかり作り込まれた塹壕の中の様子も視界の端に映る程度にしか分からないし、もやは鬱陶しく感じるほど主人公が中央です。映像に開放感がないというか、少し圧迫感を感じるような印象でした。(それが凄いんですけど)

『1917』画像(予告編より)

 

 

 

 

塹壕と映像の作り込み

 

 塹壕の再現が本当に凄かったと思います!

 塹壕の悲惨さは、話で聞いたり、資料を読んだり、映画で観るしか情報ないけれど、本作の表現はとても真に迫ったものだったと思います。

<史実に忠実にゼロから作り上げられたリアルな塹壕!>




 塹壕の状況。

 地面に延々と掘られた長い穴には、雨の水が溜まって泥だらけ。その中には、傷や疲労を体中に負った兵士が狭い空間の中で身を寄せ合っています。

 血を流した傷口にはハエがたかり、横たえられた死体にはネズミが寄る、不衛生極まりない悲惨な状況。 
 その映像を観ているだけでも気が滅入ってきそうなので、実際に戦地で戦っていた兵士にとっては相当なストレスだったと思います。

『1917』画像(予告編より)




 負傷した兵隊、人間の死体に加えて、馬の死体や、撤退する際に装備を全て破壊する作戦だったり、戦車の型とか、そういう部分もちゃんとしていたように思います。

 あと、「外の様子が分からない」という恐怖。
 地面に掘られた穴なので、外の様子は塹壕を登らなければ見えない。けど、外に出たら敵の攻撃があるかもしれない。
 相手の状況が分からない、というのはなかなかの恐怖です。



 それに対して、戦場の外の風景は美しい。

 泥と死体に覆われた戦場から一歩でも遠ざかれば、そこには何も変わらずに咲く花があり、緑が生い茂る木があり、草原が広がり、牛が草を食んでいる。

 その対比がまた綺麗でした。
 この映画は、どこを切り取っても”画になる”というか、本当に綺麗だな、と。

『1917』画像(予告編より)

 

 

 

 

残念だった物語&音楽

 

 映像はとても素晴らしかったです。
 それに伴う「戦場の一貫した変化」をワンショットで描き出したという点も、とても評価できるところなのだと思います。

 でも、私の個人的な感想では、「物語」と「音楽」が邪魔だったかな、というのが正直なところ。



 まず「物語」

 少し”映画的”過ぎたかな、と。
 誇張が多かったというか、映画的な見せ場が多すぎたと感じました。

 もともと本作は実話に基づいた作品ではなく、完全にフィクションなので、そこに文句は言い難いし、「誇張」とか「脚色」という表現も本当は適切ではないんですけどね。とにかく「盛すぎ」だと思いました。

 実際の戦場がどうか知らないし、”事実は小説より奇なり”と言いますけど、本作を観ていると「少し派手すぎでは?」と思う場面や展開がチラホラありました。
 素直に「面白い!」という反面、「戦争映画」よりも『M:I』とか『007』に近い感覚で、飽きてきた頃に盛り上がるハラハラ・ドキドキ場面をテンポよく挿入していく感じ。個人的には、「戦争映画」ではなく「アクション映画」として観ていたきらいがありました。

 このサム・メンデス監督の作品は『007』の「スカイフォール」と「スペクター」しか観ていないので、よく知らないというのが正直なところ。
 せっかく素晴らしい映像なので、そういった見せ場を絞っても面白いし、風景とか街の様子を丁寧に映していった方が魅力が高まるのではないかな、と思いました。



 次が「音楽」

 BGMが邪魔でした。
 これは本当に残念。
 個人的には、「音楽が全てを台無しにしている」と言っても過言ではないのかな、なんて思ったりもします。

 戦場って「音」で溢れてると思うんです。
 仲間との談笑とか、上官の怒号とか、銃弾の音、ハエの羽音、火が燃える音、航空機が上空を過ぎ去る音。兵士の息遣いとか、装備品がぶつかり合って出す雑音とか。
 しかも本作は「伝令が走る」という映画なので、「呼吸」とかは緊迫感を出す上でも非常に重要な音になったと思うんです。

 けど、そういう重要な「音」を、壮大なBGMでかき消してしまっていました。別にBGMなんて無くていいから、状況に応じた音をもっと大きく取り上げて欲しかったです。
 無音声映画で効果音だけ、とかの演出の方がこの作品には似合っていると思いました。せっかく、映像がワンショット風の没入・追体験型なので、「音」の方もより戦場を意識した作りにしてもいいのかな、なんて思いました。

Thomas Newman - The Night Window

 

 

 

 

反戦映画ではない

 

 この映画は「反戦映画」ではないと思う。
 少なくとも、私はそう感じました。

 かといって、「戦争を称賛している」というわけでは無い点は、ここにしっかりと明記しておきます。そこを勘違いしてはマズいのでね。

 それに、「どうして反戦映画にしたがるのか?」と聞かれると特に気の利いた返事ができるわけでもないんですけどね。



 この映画は「ヒーロー」を描いたもの。
 この部分は見解が分かれるでしょうけど。

 この作品のメインは「命令を携え走る伝令」であり、その命令は1,600人の命を救うもの。
 数々の困難を乗り越える姿を、様々なアクションを挿みながら描いているのがこの映画で、「格好いい」という感想を抱くのは必然。

 もちろん、仲間の死とか、怪我の痛みとか、不衛生な塹壕とか、敵の攻撃の恐怖とか、そういうものもしっかりと描いています。
 戦場から離れる少しの合間に会話が弾んだり、談笑する場面とか美しかったし、「何もない」ことの大切さを感じました。

『1917』画像(予告編より)




 ただ、やっぱり「反戦映画」とは少し趣が違う。

 というのは、反戦映画の先駆けで、同じく第一次世界大戦の西部戦線を題材にしたオスカー映画『西部戦線異状なし』。どうしてもこの作品が基準になってしまいます。

 『西~』の冒頭で語られるのが「これは冒険談ではない」という注意書き。これが全てだろうな、と。さらには劇中のセリフ「戦争は汚くて苦しい」というのも。

 もっと泥臭くて、苦々しくて、食べるものにも困るような状態。人も仲間も簡単に死ぬようなのが戦争で、そういう時間を描くことで、戦場の惨状を伝えるのが反戦映画と呼べるものなのではないかな、と。もしくは、明確に反戦のメッセージを携えている作品とか。



 とはいえ、『1917』は観やすいです。

 塹壕戦の恐怖や、戦争の緊張感がしっかりと張り詰めていて、しかし映像は美しく、時には心を奪われる風景も登場します。
 ストーリー的にも分かりやすいし、アクション映画的な娯楽性もあるので、戦争映画が苦手な人も観られる万人向けですね。

 多分、人に薦めるなら『1917』かなぁと思います。

 

 

 


 

 

 

以降、映画本編のネタバレあり

 

 

 


 

 

 

映画の感想
※ネタバレあり

 

圧倒的な情報の”無さ”が凄い

 

 映画を観ていてずっと感じていたのは、「本当に情報がないな」ということ。実際に劇中で描かれていない部分もあり、また私自身の知識が至らない部分もあるとは思うんですけど。

 私は結構「情報好き」というか、手に出来る情報・データは多ければ多いほど安心するタイプなので、映画を観ている最中も、情報探しに集中してしまった感はあります。

 公式サイトや予告編、Wikipediaなどには詳細に載っていますけど、私は映画鑑賞前は極力それらを参照しないように気をつけいているので、ほぼ初見の状態からスタート。



 まず最初に気になったのは「国籍」。

 第一次世界大戦で敵がドイツ軍というのは分かるけど、いつまで経っても主人公の国籍がイマイチよく分からない。
 英語を喋っているから、英国兵か米国兵の2択ではあるけど、軍服に国旗があるわけでもないから、判断に欠けます。
 とはいえ時は「1917年4月」。まだ合衆国がWW1に参戦していない頃なので、英国兵だろうとは見当を付けていましたが。

 最終的に、独軍の塹壕を歩いている時に「英国のネズミより大きい」と発言していたり、友軍の輸送トラックの中にインド人がいたので、英国だな、と判断しました。



 次が「場所」。

 2人の目的地とかの地名は登場したけど、欧州地理の詳細なんて知らないので、どこの話をしているのかサッパリわからず。

 第一次世界大戦といえば「西部戦線」というイメージが強いし、地名的にもフランス語やドイツ語系が多いので、その辺だろうと思いながら観ていました。(最終的にHPで確認したら西部戦線で合っていましたね)



 あとは、「時間」や「地図」

 伝令の2人が走っているのは分かるけど、映し出されるのがあまりにもミクロ過ぎて、状況がよく分からず。もう少しマクロな情報が欲しいと感じたのが正直なところ。

 特に夜から明け方にかけては、太陽の位置で判断できない分、時刻とか知りたかったな~と。主人公たちは地図とか腕時計とかを確認していたから、それを覗きたくて仕方ありませんでした(笑)

 

 

 

 

やっぱり物語は派手すぎる?

 

 戦争映画は得てして派手なものが多いし、それは普通のことだと思うし、何も問題ないと思います。
 ただ、本作の場合は、ところどころに「見せ場」として織り込まれていたので、なんだか「アクション映画」という印象が抜けきれなかった部分がもったいなかったな、と。



 一番印象的だったのは、「飛行機」。
 独軍の塹壕を抜けた先の農家小屋で休息している最中に、撃墜された独軍の戦闘機が墜落してきて、ギリギリで止まるシーン。

 映画か!!
 さすがにフィクションが過ぎるというか、アクション映画っぽすぎると、開いた口が塞がりませんでした。2人のうちどちらか死ぬとかなら、まだ受け入れやすかったのでしょうけど。



 あとは、最後の「前線」
 大佐を探して塹壕の中を走り、最終的には塹壕の外に出て走り出すあのシーン。劇中でも一番の見せ場でしょう。

 映画としては最高に面白かった!
 次々と塹壕から飛び出してくる味方の兵士に対して、真横に突っ切る形で走り抜く主人公の姿は格好良かったし、映像的にも見応えあるものにになっていました。

 けど、やっぱり現実ではそんなことあるのかな?と。
 仮にあったとしても、すぐに敵の攻撃にやられてしまう危険性の方が多いと思うんですけどね。



 他には「敵スナイパーとの戦い」。
 輸送トラックから降りて、落ちた橋を渡っている最中に、敵からの攻撃を受け、反撃し、見事に倒した場面。

 そこまでの流れは面白かったのですが、最後の「扉の向こうの敵兵に打たれて階段から落ちる」というのはどうなのだろう。頭のヘルメットが守ってくれたのかもしれませんが、ちょっと運が良すぎなのかな?なんて思いました。



 映画のエンドロールにも載っていましたが、この映画の題材となるエピソードは、実際に西部戦線で伝令を努めていた監督の祖父から聞いたそうですね。

 どこまでが実体験で、どこからが映画のフィクションなのかわかりませんが、やっぱり派手すぎでは?という思いが否めませんでした。

 

 

 

 

ラストシーンが超格好いい!

 

 終盤のメイン見せ場が最高でした!
 スコフィールドの走る姿が格好良かった!

 あのシーンは、数ある戦争映画の中でもとても綺麗なシーンだと思いました!

Jos Slovick - I Am a Poor Wayfaring Stranger




 戦場の最前線。
 白い砂が見える掘りたての綺麗な塹壕。周囲は緑色の草原で覆われたシチュエーション。これまでの泥臭く不衛生な塹壕とは見栄えが違うロケーション。

 そんな中、「この作戦は失敗する」とスコフィールドと観客だけが知っている。今までの地獄のような景色とは対照的に美しい風景も、やっぱり”死”に染まった地獄というのを改めて思い出させられます。



 そして、突撃まで十数秒。
 スコフィールドは上官の静止も聞かずに塹壕の外へと登り、前へと歩き始まる。数秒空いて、英国軍の第一派部隊が突撃を開始。

 縦方向に走る軍隊に対して、それを横切るスコフィールド。そのがむしゃらな走りが格好良かったし、映像的にも綺麗でした。
 ただ、走る彼の真後ろに砲弾が着弾するという演出は、安っぽいアクション映画っぽくて微妙でした........。



 そして、大佐の元へ。

 まさか、この映画でベネディクト・カンバーバッチ様に出逢えるとは! 彼は格好いいから大好き。だけど、『SHERLOCK』や『エニグマ』などでの天才・聡明なイメージが強いので、あまり軍人という印象が薄いかなーとも。

 でも、すぐに中止命令を出してくれて良かった!
 「感情で戦争をする人間もいる」という台詞が劇中にもありましたけど、そういうタイプが一番タチが悪いですからね......。

 

 


 

 

 

 『1917』の感想はこんな感じ。

 なかなか、3ヶ月近くも間が空くと、映画の感想の書き方も忘れてしまいますね......(笑) でも、私の中では2020年の映画体験の開幕を飾るには相応しい作品だと思います!

 少なくとも、自宅の液晶TVでは観ることのできない、大スクリーンと音響が整った映画館でしかできない”体験”でした!

 

 

 最後まで読んでくださり、
 本当にありがとうございました!