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【美術展】『見る、知る、感じる──現代の書』:“書”の魅力と楽しみ方を教えられた書の展示!

 

 

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2018年12月8日訪問

見る、知る、感じる──現代の書

 
【一言】

「書」の認識が変わるような面白い美術展!

「見て眺める」だけで良い。
意味は分からなくても、そこから雰囲気や形とか印象を感じ取れば良い。

「書」の鑑賞の仕方が大きく変わりました!

 
【Twitter140文字感想】

 

 

 

 

美術展の概要

今回のテーマは「書の鑑賞」です。初めて現代の書を見る方でもお楽しみいただけるように、現代の書ならではの表現を、作家の言葉を手掛かりにご覧いただきます。鑑賞体験を通して、今日の書とは一体どのような表現なのかについて、見て、知って、感じていただきながら、初心者も熟練の方も、皆さまを奥深い書の世界へと誘います。
東京都美術館

東京サイト『現代の書』(テレビ朝日×東京都)

会場:東京都美術館 ギャラリーA, C
会期:2018年11月18日~2019年1月6日
料金:一般500円
作品リスト:PDF
公式サイト:こちら

 

 

 

 

全体感想

 

 「書」については本当に興味のない分野でした。
 市営の図書館とかで「書道展」とかがやっていても見事にスルーするくらい。

 そんな私が行ったのは、単純に「面白そうだった」からです!
 そして、実際に面白かったです!



 正直、書いてある内容はほとんど分かりません。
 文字が判別できないものもあるし、漢文とかは苦手な教科ですし。

 しかし、その「見方」を美術館側が「眺めればいい」といってくれるのは力強く感じました。

必ずしも読みやすいとはいえません。それでも、まずは瀧さながらの情景と書の線の流れに向き合ってみてください。...[中略]...じっくりと見て、読める字や気になる部分を探してみたり、作品から受ける印象を味わうことから始めてみましょう。

こうして言われると、形とか印象とか雰囲気だけを楽しんでも良いものなのだと背中を押された気分になります!




 展覧会......というか作品の規模が大きくて驚きました!
 数メートル級の作品ばかりだし、中には5,000メートルという作品まで。

 そういう作品も、細かく見ていると筆使いや掠れ具合とか面白い部分、気にいるようなポイントがあってなかなか楽しかったです!




 展示されていた作品の中では、菊山さんの「あめ」を書いた作品が好きでした。
 書かれるのは「あめ」という一文字だけでも、その様子や性質が違うように映る沢山の描き方がされていて面白かったです。

 まさに「表意文字」というような感じです!

 

 

 

展示作品の紹介

 

見る書と知る書Ⅰ

 最初に金敷駸房による近代詩文書の作品をご覧いただきます。近代詩文書とは、 現代文で一般に使われている漢字とかなとを調和させて書く書のことです。調和体あるいは漢字かな交じりの書とも呼ばれます。近代詩文書運動を牽引した金子鴎亭は 「新調和体論」において、「日常の生活と密接の関係にある口語文・自由詩・短歌・短章・ 翻訳詩等」を素材に書作品を制作することを、現代にふさわしい書表現だとして提唱しました。このように近代詩文書は、同時代の私たちでも読むことのできる、言葉を伝えるための書として誕生しました。そのため、漢文の知識がないと読めない漢字や、 くずし字の素養がないと読めないかなの書作品に比べると読みやすいものが多く、 親しみやすさが最大の特徴といえます。
 今回出品される《槐多の瀧》(no.1)は、おそらく世界最長の書作品です。全長は約 5,000メートルに至ります。22歳で早世した大正時代の洋画家・村山槐多の『槐多の歌へる』という詩文集を一冊まるごと揮毫したものです。制作期間は約1年間で、24 時間に換算すると1か月分もの時間がかかったそうです。書の作品というと、通常の書道展では額装または軸装されて壁面に展示されるのが一般的ですが、この作品はまったく別の姿をしています。 「書に注目すると、くずし字(2文字以上を続けて書くこと)を多用して勢いのある流麗な線で書かれているため、かなのくずし字に慣れていない方には、必ずしも読みやすいとはいえません。それでも、まずは瀧さながらの情景と書の線の流れに向き合ってみてください。部分的にでも判読できるところが必ずありますので、じっくりと見て、読める字や気になる部分を探してみたり、作品から受ける印象を味わうことから始めてみましょう。

 

金敷駸房



作品名:槐多の歌へるより [村山槐多の『歌へる』]
制作年:2018


 個人的に、この「俺」という一文字が気に入りました!
 薄く滲んだ墨が“俺”の周りを囲んでいて、なんだかオーラを放っているよう。

]

 

 

作品名:槐多の瀧 [村山槐多『槐多の歌へる』]
制作年:2014


 5,000メートルの「書」ってヤバくないですか!?
 読む気も起きませんが、文字を見ていると「そこまで丁寧で綺麗じゃない」気がしました。これは量で勝負するタイプですか。

 

 

 

見る書と知る書Ⅱ

 ここでは秋山和也によるかなの作品と、大橋洋之の漢字の作品をご覧いただきます。 かなは日本で誕生し、平安時代に美の頂点を極めたとされます。くずし字や、行頭や行末をあえて揃えずに書いたり、時には行を傾けて書く「散らし書き」など独特な表現 があります。流麗な曲線と、細くしなやかな線の美が共存しています。
 一方、漢字は大陸から日本に渡来しましたが、その起源は古く、古代中国の殷・周 時代の甲骨文や青銅器に鋳込まれた金文にまで遡ることができます。長い歴史の中で変化し様々な書体が誕生しましたが、宋時代の書家の蘇東波は書体ごとの違いを「真 (楷書)は立つが如く、行は行く(歩く)が如く、草は走るが如し」と、人間の動作にたと えています。このように同じ漢字であっても書体により受ける印象が異なることが、 漢字書の面白さの一つといえます。

 

秋山和也

 秋山の作品は大きく分けて2種類あります。小字による、古典に忠実に書かれた作品 と、大字がなや中字がなと呼ばれる現代的な作品です。折帖の小字の作品は、平安時代 の古筆の臨書を日課とする秋山らしく、古筆と見間違えるほど細く凝縮した、緊張感 溢れる線が見どころです。現代的な作品では、紙面に文字を配する散らし方における 独特な画面構成と、文字を極限までデフォルメして書くところに特徴があります。勢い のある線と、大胆にとられた余白のバランス感覚を味わっていただきたいと思います。

 

作品名:秋風の [読み人知らず]
制作年:2017

 

 

作品名:久方の [紀友則]
制作年:2018
備考:

 

 

 

大橋洋介

 大橋は薬書を数多く発表している作家ですが、今回は漢字の案書、隷書、楷書、行書、 草書の五体それぞれの作品を制作しました。とりわけ古代文字の作品には、迫力と同時 にコミカルにも感じられる文字の形の楽しさを発見していただけると思います。大橋の 作品の最大の特徴は造形美と線の躍動感にあります。じっくりと向き合うと、今にも 動き出しそうな躍動感溢れる線と、線そのものに奥行きが存在することも感じていた だけることでしょう。

 

作品名:舊唐書・張之衡傳
制作年:2014


 何書いてあるのかさっぱり分かりませんが、この漢字の感じが好きです!
 印鑑とか金印に彫ってありそうなこの漢字。「景」とかはかなり分かりやすいですよね。

 

 

作品名:孫子
制作年:2018


 この作品では「動」一文字。
 「力」の払いの部分の“躍動感”が印象的でした!

 

 

作品名:趙甌北句
制作年:2018


 下に写真を載せましたが「霞」「聲」「蟲」の文字が好きでした。
 そもそも漢字本来の意味や形が個人的に好きな文字で、「書」として書かれたこれらの漢字もいい感じでした!

 

 

 

感じる書

 最後に菊山武士、千葉蒼玄、鈴木響泉による大字書や前衛の書をご覧いただきます。 大字書は少字数書とも呼ばれ、1~4文字程度の漢字により構成される作品のことです。 手島右卿らが美術としての書を模索する中で、文字数を限定し、読める書がすなわち 感じることのできる書だという考えのもとでスタートした表現分野です。
 前衛の書は、第二次世界大戦後に発表された比田井南谷の《作品1(電のヴァリエー ション)》をきっかけに、手島右卿や大沢雅休、上田桑鳩、森田子龍らが書の新しい可能性等を見出して牽引した芸術運動です。同時代の抽象美術やアクションペインティング等 とも刺激し合う中で、文字の約束事から離れた造形や、用具用材においても筆墨硯紙 に限定せずに、刷毛や布、ラッカーやエナメル、カンヴァスなどを用いることもある、 幅広い書表現のことです。前衛の書も大字書も展覧会芸術として発展しており、鑑賞 されることや、作品として鑑賞者に何かを感じてもらうことを意図して書かれている ものです。

 

菊山武士

 菊山は現代書の分野で活躍する作家です。今回ご覧いただくのは、代表作である雨 のシリーズと、少字数書の作品です。彼の作品は確かな書法に裏づけされた書であり つつも、絵画のように鑑賞することができるものといえます。軽やかで自由に舞い踊る かのような線からは、浮遊感と空間性を感じることができるでしょう。

 

作品名:どしゃぶりのあめ
制作年:2005


 感想の方でも書きましたが、ここから何作か展示してある「あめ」を題材にした作品が一番好きでした!

 1つの作品の中にも、様々な「あめ」があって見ていて飽きないです!

 

 

作品名:あめの記憶
制作年:2017


 正方形の紙に色々な「雨」が書かれているわけですが、これも1枚1枚表情が違って面白かったです!

 ただ、上の方は絶対に見えないので、その点がとても残念でした。

 

 

作品名:雨を聴く
制作年:2007


 この作品も「あめ」が題材ですが、ちょっと「藤の花」にも見えると思った次第です。

 

 

作品名:
制作年:2008


 このなんとも言えない雰囲気が好きな作品です!
 この「冬」の形がめっちゃ好きです!

 

 

作品名:
制作年:2006


 「隣」という作品。
 作家が意図してか、せずしてか、書かれた2つの塊が「鶴と亀」に見えるんですよ!! 対照的な存在だし、まさに「隣」では!

 

 

 

千葉蒼玄

 千葉の《3・11 鎮魂と復活》(no.37)は、東日本大震災後の新聞記事を書き写した作品 です。今回の出品のために、千葉は以前発表された作品に追加して制作を行いました。 3・11から7年を経て徐々に記憶が風化している現状に対し、私たちは、未曾有の大災害 の記憶と記録をいかに留めるか、そして対峙し続けられるかが問われています。石巻 出身の千葉も大きな被害に遭いましたが、不屈の精神によって困難を乗り越え、書で ないと実現できない作品に挑戦していることを感じていただけると思います。

 

作品名:3.11 鎮魂と復活
制作年:2012-2018


 この作品は大きさに圧倒されました。そして、近づくとうねっている1つ1つが文字だとわかり、さらに驚きました。
 3.11に関連する新聞記事を書き写したということで、「福島原発」や「防災」「JR遅延」とうの細かな情報が目に飛び込んできて、とても印象的でした。

 

 

作品名:鎮魂と復活 オーロラ(昇魂)
制作年:2018


 この作品、インパクトだけは凄いのですが、その中身はまっったく分かりませんでした。

 

 

 

鈴木響泉

 鈴木は一貫して大字書に取り組み続けている作家です。淡墨による多彩な線に特徴 があります。黒の色の豊富さも鈴木の作品の魅力ですが、画面全体に目を向けると、 線と余白との調和、とりわけ紙の白色の美しさに目を奪われることでしょう。「墨に 七色あり」といわれますが、鈴木の作品の淡墨の中に存在する微妙なグラデーションと、 白と黒が触れ合う緊張感のある接触状態の両方を味わっていただければと思います。

 

作品名:非非
制作年:2015


 鈴木さんの作品はとにかくその形が面白くて、どこか可愛くて、好きです!
 この「非非」もひょろりとした縦長の形が4つ並んでいる構図そのものが面白くて好きです!

 

 

作品名:
制作年:2015


 「咆哮」というように使う「咆」の漢字。
 毛並みのようなものを感じられて、まさに「獣が吠えている」ようすそのもの!


 

 

作品名:
制作年:1999

作品名:
制作年:2013

 

 

作品名:
制作年:2018


 この「幽」という陰気な漢字にぴったり合う掠れ具合とか、本当に好きです!

 

 

 


 

 展示内容の紹介は以上です!


 ちなみに、私が行ったときは『ムンク展』の開催している日曜日。開館時間に合わせて美術館に行きましたがすごい行列で絶望しました───その時! 聴こえてきたのは「ムンク展以外に行かれる方はいらっしゃいますか?」という係員の声。

 「そんな奴いるのか?」という雰囲気が周囲に漂うなか、堂々と声を上げる私。すると、「こちらからどうぞ」と行列をすっ飛ばして展覧会場へ! 行列を横目に追い抜きながら1人展覧会場に向かうのって気持ちいいですね!

 

 


 

 

 

 最後まで読んでくださり、
 本当にありがとうございました!!