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『映画』や『アニメ』、『読書』や『美術館』などの思い出を残すために始めたブログです。完全に個人用なので読みにくかったらスイマセン!

【映画】虐殺器官

 

 

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※ネタバレなし。

※画像は予告映像のキャプチャです。

2017年3月12日 

 

虐殺器官

 

 

 

【評価:4.7/5.0】

 


【一言】

“言葉”で映画を描くって、こういう事です。






【目次】

 

 


 

 

ストーリー

 Project Itoh第三弾。 
 
 9.11同時多発テロを経験した米国は対テロ路線をとっていたが、サラエボで核爆弾を爆発させるテロが発生。これを機に米国をはじめとする先進国は完璧な情報管理社会を構築することで平和を保っていた。


 一方、アフリカや東南アジアなどの後進国では内戦や虐殺が各地で勃発していた。
 そして、その虐殺にはジョン・ポールなる人物が関与していると米国政府は特定し、クラヴィス・シェパード大尉を筆頭とする特殊部隊に彼の暗殺を命じる。

予告動画

 

 


 

 

作品データメモ

監督:村瀬修功
制作:GenoStudio
原作:伊藤計劃虐殺器官
主題歌:EGOIST『リローデッド』
キャスト:中村悠一 etc.
上映時間:115分
日本公開:2017年2月3
配給:東宝映像事業部
映倫区分:R15+
公式サイト

 

 

 

 


 

 

 Project Itoh

32歳という若さで病没した作家『伊藤計劃』。
 「Project Itoh」と名付けられたこのプロジェクトによって彼の処女作=「ハーモニー」、遺作=「虐殺器官」、冒頭30ページのみを遺しこの世を去った伊藤に変わって盟友である円城塔が書き継いだ「屍者の帝国」の3作品を映像化されました。 
 「Project Itoh」とはこのプロジェクト名であり、そして“伊藤計劃”の名前でもあるのです。


夭折の作家、伊藤計劃―。

僕達は、彼が計劃した世界を生きる。

『計劃〈Project〉は止まらない』

 

 

『ハーモニー』感想

 


屍者の帝国』感想

 

 

 

 

 


 

 

 

 

感想

感想外観

 ストーリー内容や描写などよりもまず、『言葉を用いた作品表現』の強さを心底思い知らされました。“映像で見せる”じゃなくて、“会話で考えさせる”映画でした。 
 タイトルの意味がわかった時は納得しましたね。




 映像についてですが、新鮮であると同時に、どこか古さを感じさせました。舞台の近未来的ガジェットと、昔からの街並みの対比が綺麗でした。
 R15+指定ということで、残虐描写は素晴らしかったです。また、内容やセリフにもある程度の過激な部分がチラホラ。



 残念だったのは“声”です。「なんか違う感」が否めなかったです。



 構成展開はとても良かったです。映画の展開部分はテンポよく飛ばし、その部分に掛かる時間を登場人物同士の会話にきっちり振り分けていました。



 この世界観大好き!近未来、サイバーパンク、虐殺と戦争、特殊兵士……!
 伊藤計劃の『ハーモニー』と繋がっていると言うのも納得。

 

 

 

 

読む映画

 本作はとにかく会話と言葉で成り立っていると言って過言ではないと思います。
 「映画を観ている」というよりも、「小説を見ている」という感覚に近い気がします。言葉一つ一つを読み逃してはいけない感じ。



 小説の映像化ではあるものの、映像に頼るのではなく、原作を基とするたくさんの言葉と会話で作られているように感じました。




 さらに、一つ一つの言葉、単語の使い方や選び方にとても気を使っているように感じました。ただ伝えるだけじゃなくて、“どう伝えるか”に重点をおいていた気がします。
 映画映画の監督も「伊藤計劃自身の言葉を大切に製作した」と言っていたように、映画化に際しても気を使ったと思います。



 簡単な単語に翻訳するのではなく、あえて専門用語や説明的な会話にする事で、より世界観がリアルになったように感じました。

 

 

 

 

 

映像描写とグロ描写

 映像はSF的でありながらも、どこか古さを感じさせました。

 まず、近未来的なガジェット(=網膜レンズ型コンピュータ,人工筋肉,降下ポット,機械兵器etc.)はCGを使用したり、流線型だったりして新しさを感じさせます。一方でチェコ後進国の街並みや風景はSF化される事なく現代のままです。また、人物の描き方(特に髪や影)にどことなく80年代の米国を連想しました。




 それから、兵士の視点から見た一人称視点映像が良かったです。緊迫感や臨場感がひしと伝わってきます。でも、FPSゲームみたいに感じたのが少し残念。




 グロ描写については、映画鑑賞制限がR15+ということで過激な部類でしょう。
 銃弾が命中して肉が剥がれて穴が空くと同時に血が吹き出す過程や、銃弾を受けて飛び散る頭部、ちぎれて飛び出した内蔵などが細かく描かれているのには見入りました。
 また、セリフや内容にも残虐行為を半ば肯定するようなモノが含まれていたりしましたね。


 グロ描写に関してはアニメ『サイコパス』の昇華版と考えると良いかもしれません。
 ただ、CMや予告編を観るとかなり虐殺シーンがあるように思えて期待していたのですが、意外と虐殺シーンは少なめです。



 

 

 

 

展開構成

 最初にも書いたように、展開構成は完璧だと思います。原作を読んでいないのでどう編集したのか分かりませんが、大切な部分と必要ない部分の分け方が的確でした。



 (ネタバレになるので簡単に。)前半は世界観の説明とジョン・ポールを追う理由を素早く説明して、後半に見どころでもある「言葉と会話」をたっぷり描いていました。
 ダラダラと世界観も、展開も、会話もごちゃ混ぜにしちゃうような洋画とは比べ物にならないくらい観やすかったです。

 

 

 

 

 

効果音&声優

 音に関しては、戦闘服の装備がたてるカチャカチャ音や、ミサイルの音などが細かくて綺麗でした。
 音楽は冒頭の『月光』がいい雰囲気を醸し出します。そして、その『月光』のピークが上手く映像に重なるんです!



 一方で声優さんは残念でした……。
 具体的にどうってわけじゃないけど……中村悠一さんの声は違う気がします。シェパード少尉も、ジョンポールも。ただ、相変わらず大塚明夫さんは上手いんですよねで〜。役にハマってます。

 

 

 

 

 

世界観

 近未来&サイバーパンクが大好きな自分にとって、「近未来と現代が融合」したって世界観は最高!



 人工筋肉や網膜レンズ型コンピュータ、ナノマシン意識ハック、光学迷彩………のように近い未来のSF要素、前述したような現代の街並みや変わらない銃器類など古さを感じさせる要素もあって、とても羨ましい世界。

 

 

 


 

 

 

以降、映画本編のネタバレあり

 

 

 

 


 

 

 

ネタバレあり感想

 

虐殺器官

 予告編でチラッと『虐殺をジョンポールが言葉で導いている』的なことを言っていて、「洗脳か?]とかって軽く考えていましたが、深かったです。そして、専門用語と科学的見解に基づいたルツィアやジョンの説明でリアルに感じましたね。



 『虐殺の文法』=『食物争い』というのは驚きましたが、奴隷の会話や古代の農耕集団の例を出したりと裏付けをきっちりしていたので、事実と言われても信じられそうです。

 

 

 

 

 

構成

 自分は一瞬迷ってしまいました。アメフトの試合を観戦するシーンの時系列がどこあるのかって。

 最初と最後が同じで、途中に挿入される形で、シェパードが語る形で物語が描かれていたんですね。



 ラスト、「これが私の物語だ」というのはシェパード自身の事でもあり、伊藤計劃自身、Project Itohの事でもあるんだろうな〜と思いました。

 

 

 

 

 


 

 

 

 最後まで読んでくださり、
 本当にありがとうございました!!