メモスト

映画・アニメ・美術展などを中心に感想を書いています!

『映画』や『アニメ』、『読書』や『美術館』などの思い出を残すために始めたブログです。完全に個人用なので読みにくかったらスイマセン!

【映画】『IT/イット “それ”が見えたら、終わり。』───ピエロの笑いが誘う恐怖

 

 

サイトを移転しました。

約3秒後に自動的にリダイレクトします。

 

 

 

 

 

 

 

※ネタバレなし。

※画像は予告映像のキャプチャです。

2017年11月17日

 

IT/イット “それ”が見えたら、終わり。

 

 

 

 

【評価:3.1/5.0】

※1990年版『IT/イット』と比較すると、「3.8~4.0」まで点数を引き上げても良いと思いました。(詳しくは下で)

 


【一言】

第一印象は『スタンド・バイ・ミー』のホラー版。

「醜い怖さ」ではなく「美しい怖さ」だったのが良かったけど、刺激と衝撃より“潜在的な恐怖心”を重視していたのが、少し物足りない……。

恐怖、そして勇気と友情に盛大な拍手を!!






【目次】

 

 


 

 

ストーリー

 小さな田舎の町で多発する、子供の失踪事件。
 夏休み、少年ビルは仲間らとともに下水道の探検を試みようとするが、そこで見つけたのは行方不明になった少女の靴だった。

 そして、ここから少年らの“恐怖”が始まる。
 風船や死体が急に目の前に現れるようになり、そこには必ず薄笑いを浮かべたピエロ──ペニーワイズが居るのだった。

予告動画

 

 


 

 

作品データメモ

監督:アンディ・ムスキエティ
制作:ニュー・ライン・シネマ
原作:スティーブン・キング『IT』
キャスト:J・リーバハー, B・スカルスガルド and more.
上映時間:135分
日本公開:2017年11月3日
配給:ワーナー・ブラザーズ
公式サイト

 

 


 

 

感想

感想外観

 スティーブン・キングの代表的な『IT』。過去のオリジナル版映画は観ておらず、リメイク版の今作が初鑑賞です。




 「怖さ」と言うことですが、一般的な(?)ホラー映画のように急な登場・衝撃的な映像で怖がらせるのではなく、潜在的な恐怖心を煽り立てる方式での「怖さ」で、純粋に超怖いホラー映画を期待していた私にとっては少々物足りないです。



 ただ、その怖がらせ方がとっても“美しく”て良かったです。
 “美しい”という形容詞が適当かは微妙なところですが、勢いや黒グロい描写に頼った怖がらせ方ではなかったのが個人的に好印象!




 映画を観た印象としては「『スタンド・バイ・ミー』のホラー映画ver.」というのが適切だと思います。
 夏休みに、仲のいい男子たち(+女子1名)が街や自然の中で遊んだり、冒険する場面は特にそう感じました。
 まぁ、両方とも原作はS.キングさんですけどね(笑)




 内容や展開構成については、私個人は微妙という評価ですかね。
 驚愕的な展開や、衝撃的などんでん返しがあるわけでもなく、事件発生から淡々とエンディングまで進んでいる感が否めませんでした。
 でも、コロコロ変わる場面は、どこか小説の章をめくっている感じもしましたが。



 恐怖のピエロ=ペニーワイズ。
 狂ったような目、分厚い唇、広い額、真っ白な顔に塗られた真っ赤な口紅。
 ビジュアル面から最高のキャラですが、動き方がまた素晴らしく気持ち悪い!

 

 

 

 

恐怖の描き方

 ホラー映画をほとんど観ていない私の単なる先入観ですが、ホラー映画には何種類かあると思います。

 ・グロテスクな映像で怖がらせる
 ・音や急な登場などで怖がらせる
 ・徐々に緊張と恐怖感を高めていく
 ・とにかく殺しまくって怖がらせる
  ︙
  ︙

 上で挙げたような種類のホラー映画なら、目で見て怖がったり、ひたすら嫌悪感を抱くような怖がらせ方ですが、今作はそうではなかったです。
 私は上に挙げたような種類を期待していたので、少し残念でした。



 もちろん、今作の映像は普通にグロテスクですし、映像の切り替えや急な登場など怖さはあります。
 でも、それがメインではないというか。




 「一気に恐怖のどん底に陥れる」というのではなく、「徐々に恐怖を積み重ねる」という表現が1番分かりやすいですかね?
 各々の場面ももちろん怖いですが、それの積み重ねが大きくなっていくというか。



 多分、構成の仕方にもそう感じる理由があるでしょうし、意図的なものでしょうけどね。

 

 

 

 

 

美しい恐怖

 ただでさえ定義が曖昧で個人によって感じ方が違う「恐怖」に、余計に曖昧な「美しい」という形容詞を加えてみました。




 「殺せ!」とか「追いかけろ!!」とか「血染めにしろ!」というような下品で単調な恐怖ではなくて、とても繊細な恐怖だと感じました。



 風船を浮かべたり、ささやき声を聞かせたり、チラッと姿を見せたり。
 “引き際がきれい”というか、無理に追い詰めずに恐怖の余韻をしっかり残すような部分に、美しさを感じました。




 それから、グロテスク描写にしても単に残虐性を映すのではなくて、映像映えするような描き方だったのも美しく感じた理由の1つですかね。



 

 

 

 

SBMのホラー版

 『スタンド・バイ・ミー(Stand By Me)』って長いので、『SBM』と略しました。この作品も原作は『IT』と同じスティーブン・キングです。




 『スタンド・バイ・ミー』を観た方ならわかると思うのですが、本当に似ていました!
 ただ、詳しく書くとネタバレになっちゃうんですよね…………^_^;
予告編





 田舎の町を舞台に、小さな世界で仲間を作って遊ぶ少年たちの姿とか、夏休みに冒険を試みるところとかが似ていると思いました。




 まだ観ていない方、ぜひ観てくださいな!!

 

 

 

 

 

内容と展開構成

 内容的にも展開的にも微妙でした。まぁこれは映画が悪いというわけではなく、原作が私の肌に合わなかったのでしょうけれど。



 何人もの登場人物が出てきて、描かれる場面が細切れ的に移り変わる構成があまり好きではありませんでした。

 せっかく恐怖を描いても、場面が変わるとそれが薄れてしまうような感じがして勿体なかったというか。
 ただ、描く恐怖の種類的には仕方ないことなんですけどね…………。




 それから、物語の進行が一本道過ぎた印象も残念でした。

 王道な文学作品的すぎたというか、もっと紆余曲折しても良かったというか。
 恐怖という点では及第点だったとしても、物語の方に「驚くような刺激」が足りなかったです。



 

 

 

 

 

恐怖のピエロ

 ピエロのメイクをしたペニーワイズ。
 最初にも書きましたが……狂ったような目、分厚い唇、広い額、真っ白な顔に塗られた真っ赤な口紅。



 ビジュアル面が最高! 子供の味方のはずのピエロを意図的に怖くさせた姿が良いですねぇ〜。




 しかも、彼の動きがこれまた気持ち悪い! 普通の人間では出来ないような関節の動きとか、手足の動きをするから、本能的に嫌悪感を覚えました。





 若干話しが逸れますが、『IT』のVR動画がなかなか良かったです。
 イヤホンをして、VRゴーグルを使って見ると、主人公たちの一人称で下水道などの恐怖を追体験出来たのが楽しかったです!!
 しかも、それなりに怖かったですし(笑)
360°VR動画

 

 

 

 

 

1990年版と比べて

 本作を観たあとで、1990年版の『イット』を観ました。




 2つを比較すると、やはりリメイク版の本作は良くできていたと思いました。比較した場合、本作の評価は『3.1』ですが、『3.8〜4.0』くらいまで引き上げてもいいと思いました。

 ただし、リメイクとはいえ、今作と1990年版は直接関係があるわけではないので、点数を変えることはしませんが。



 具体的には構成がとても良かったです。
 1990年版のネタバレも、リメイク版のネタバレも避けなくてはなりませんが、リメイク版は構成がとても良かったです。



 また、さんざん書いたように「美しさ」という点でもリメイク版の方が勝っていましたね。

1990年版『IT/イット』の感想です。

 

 

 

 

 


 

 

 

以降、映画本編のネタバレあり

 

 

 

 


 

 

 

ネタバレあり感想

 
※登場人物たちの名前をしっかり覚えていないので、特徴とあだ名(?)で書きます。



序盤

 嵐の夜、兄ビル弟ジョージが紙の船を浮かべて遊ぼうとします。
 防水加工をする為に、薄暗い地下室にニスを取りに行ったジョージ
 特に驚く場面ではないのですが、ホラー映画と認識しているから、怖く感じますね……。




 完成した舟を持って外に出る弟ジョージ
 浮かべた舟はどんどん流れに乗って、側溝に落ちてしまいます。
 覗き込んだジョージが目にしたのは………ピエロ姿のペニーワイズ。彼の高い声が好きです(笑)




 「知らない人から〜〜」と躊躇するジョージと無理やり友達になるペニーワイズ
 サーカスの話とか、お菓子の名前、風船とかって状況と真逆の話の内容がなんとなく異様。

 そして舟を受け取ろうと手を伸ばした瞬間……………ペニーワイズの口から牙が現れ、ジョージの腕を噛みちぎった!
 そして、身体も側溝へ引きずり込んでしまいます。





本編冒頭動画(公式)

 

 

 

 

前半

 舞台は夏休み前の学校へ。これから主役となる子供たちが描かれます。
  ・ビッチと罵られる女の子。
  ・イジメられるおデブ転校生。
  ・負け組4人のリーダ、兄ビル。
  ・負け組4人のお喋りなモジャ髪眼鏡。
  ・負け組4人のユダヤ教少年。
  ・負け組4人の薬服用少年。
  ・部外者の黒人羊飼い少年。
  ・イジメっ子不良グループ。


 子供たちが次々と奇妙な出来事に遭遇します。
 黒人少年は街の食肉解体工場が炎上し、焼けただれた腕が何本も伸びてくる幻覚を見て。



 ユダヤ教少年は、教会兼自宅に掛けてある不気味な顔の女性肖像画の傾きを直したら…………その絵がパタリと落ちて、拾った絵からは肖像が消え、振り返ると………そこにその不気味な女性がおり、騎馬を向いて襲ってきて。



 図書館で歴史を調べていたおデブ少年
 祭りの事故記録写真をめくっていくと、不可解なズームアップをして、最終的に映し出されたのは首!

 さらに、風船と卵を追って書庫に入っていくと、現れたのは首のない少年の死体。追いかけられ、最後にはペニーワイズが現れて。




 そのおデブ少年は、さらに運の悪いことに不良組に見つかり、腹にナイフで名前を彫られかけて。
 なんとか逃げ出して、走り、駆け下りて川へ。




 一方、ジョージ捜索と夏休みの冒険を目指して遊ぶ負け組4人は街の下水道を探検する事に。
 糞尿と汚水の汚さに躊躇していると、最近行方不明になった少女の靴を片方発見。




 おデブ少年負け組4人が合流。
 追ってきた不良組の1人が下水道内へ入っていくも、現れたのは腐敗の進む子供の死体、そして………ペニーワイズ

 

 

 

 

中盤

 別の日。
 負け組4人おデブ少年女の子採石場で遊ぶことに!
 飛び込みをしたり、水場で遊んだり、皆で話し合ったりする姿はまさに「スタンド・バイ・ミー」を連想させました。
 特に、あの白い下着がそう感じさせたのかも。




 帰り道。
 井戸の家の前で薬を落とした薬服用少年。急いで拾おうとした手の先に、疫病にかかったゾンビのような化物が。
 逃げる薬漬け少年。風船が割れ、現れたのは…………ペニーワイズ




 こちらは女の子
 差出人不明の、美しい詩が書かれた絵葉書を風呂場で読んでいると、どこからか声が。

 洗面台の排水穴を覗き込み、メジャーを差し込んで…………引っ張り上げた先端に絡まっていたのは血染めの髪の毛。
 しかも、髪の毛が彼女に絡みつき、さらに大量の血が噴き出してあたり一面真っ赤に。




 さらに雨の夜。
 兄ビルが家で弟への感傷に浸っている中、不意に感じた存在感。
 レインコートを着た弟の姿を目にしたの兄ビルは後を追って辿り着いたのは地下室。

 床に水が溜まった地下室で、弟の姿を確認するも、その顔はどんどんと腐敗していき、最後には………………ペニーワイズが姿を現す。

 

 

 

 

 

後半

 黒人少年が不良グループに捕まった!
 それを目にした負け組皆んなは彼を助けるために、石を投げて対抗!
 「戦争だ!」




 皆で報告会&作戦会議!
 おデブ少年の調査で分かったのは、この田舎町では過去にも大きな事件が発生しており、その周期は27年。
 “それ”は対象が1番怖がるものを見せる。




 場所を映して兄ビル家のガレージへ。
 町の下水道地図と市街地図を重ねると、事件現場が全て下水道で結ばれており、それはある一点へ───井戸のある家へ繋がっている事が一目瞭然!



 謎解決に喜ぶのもつかの間、突然プロジェクターが勝手に動き出したかと思うと、写真にはペニーワイズの姿が。
 恐怖に取り憑かれた子供らが機械を倒すと、今度はスクリーンから巨大なペニーワイズが姿を表した!




 意を決して、「井戸の家」へ。
 兄ビルモジャ髪眼鏡薬漬け少年が中へ。


 自分の似顔絵が描かれた行方不明人捜索チラシを発見してパニクるモジャ髪眼鏡をなだめて、一行は2階へ。




 しかし、まず薬漬け少年ペニーワイズの餌食に。穴の間床から1階へ墜落し、意識不明に!

 モジャ髪眼鏡が閉じ込められたのはピエロの人形が大量に置かれた異常な部屋。

 兄ビルモジャ髪眼鏡は2人再開し、ペニーワイズの見せる幻覚を見破って、薬漬け少年を助けに!!




 一方の薬漬け少年
 落ちた衝撃で腕がありえない方向に曲がったものの、その痛みはペニーワイズへの恐怖に比べたらどうって事もない!

 危険な場面を救ったのは、女の子の一撃。目を貫通して頭を突き抜けた鉄の棒は、ペニーワイズに大きなダメージを与えた!




 危険な目にあったみんなは、心がバラバラに。
 お互いを非難しあって、絶交。

 

 

 

 

 

終盤

 訳あって、不良グループのリーダーは父親を刺殺し、女の子は父親を殴り殺します。
 ……………が、女の子ペニーワイズに連れ去られた!!




 ここで再び負け組の皆があつまった!
 この格好いい、勇気ある集合が本当に良かったです!! やっぱり、友情と仲間って本当に大切なキーワード!



 再び井戸の家へ。
 武器や装備の準備は万端。井戸の中をそろりそろりと降りていきますが…………ここで不良リーダーが登場!
 黒人少年を殺そうとしますが、反撃にあって無事死亡です。



 一方の女の子
 彼女が連れてこられたのはたくさんの下水道が集まる広い空間。
 最初にペニーワイズが言っていた「サーカス小屋ごと下水道に流された」っていうのは本当の話?


 なんだか、この空間って『ハリー・ポッターと秘密の部屋』に出てきたトム・リドルの隠し部屋みたいです。




 で、色々と困難をくぐり抜けながら全員が下水道の集まる巨大空間に到着。
 おデブ少年女の子にキスをして意識を取り戻させます。


 兄ビルは、弟ジョージと感動的な会話をしつつも、幻覚だと自分を律してトドメの一撃を撃ち込むが…………ここから最終決戦!!



 少年少女vs殺人ピエロ
 複数人vs1人のリンチが始まります! 子どもたちは抵抗の弱いペニーワイズに向かって躊躇する事なく、殴る蹴るの暴行を!!

 ここまでが美しい恐怖だったのに、一気に暴力的な恐怖に変わりましたね。



 ペニーワイズは下水道の奈落へ消えていき、行方不明の子供達も降りてきました。

 そして場面は地上へ。
 再び“それ”が現れたら、皆んなが集まると約束をし、血の誓いをして、手を繋ぐ。
 この決意のシーンが最高に良かった!!!!




 そしてThe End.
 最後には出てきた『IT Chapter1──イット 第1章』という文字。
 続きがあったぁぁぁぁぁぁぁ!!!

 

 

 

 

 

 


 

 

 

 最後まで読んでくださり、
 本当にありがとうございました!!