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『映画』や『アニメ』、『読書』や『美術館』などの思い出を残すために始めたブログです。完全に個人用なので読みにくかったらスイマセン!

【映画】マクベス

 

 

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2016年5月13日
【評価:3.4/5.0】
 
【一言】
セリフがシェークスピアしていて詩的!
狂気に染まっていく2人の描写と演技がGood!
劇らしい演出が良かった!
 
 
『夫が王になった時、2人の運命が狂い出す。』
(原題:Macbeth)
 

 

目次

 

 

【STORY】

2016年で没後400年を迎えるイングランドの劇作家W・シェークスピア。彼の四大悲劇のうちの一つ『マクベス』を英米仏合同で映像化。

 
 内乱に揺れる11世紀のスコットランド。国の危機を救ったのは国王に忠義を誓う将軍マクベスと戦友バンクォー。
 激戦を繰り広げた戦場の荒野で彼らは3人の魔女に出会い、「マクベスは領主となり、やがてイングランドの王になる。そして王位はバンクォーの息子が継承する」と予言される。

 この予言を知らされたマクベスの妻は夫を王位に就けるべく王の暗殺を計画し、心中の葛藤の末にマクベスはそれを実行。スコットランドの王位を継いだのだった。
 しかし、良心の呵責や周囲の人間への疑心暗鬼などからやがてマクベスの心は壊れていってしまう・・・。

 


【詳細】

監督:ジャスティン・カーゼル
原作:ウィリアム・シェークスピア
上映時間:113分
日本公開:2016年5月13日
配給:吉本興業
HP:
 
 
 

【感想】


 本作を観る直前になって図書館でマクベスを借りて読み、映画館へ。こういうのはやっぱり原作をチェックしないと!
 
 凄かった。まずはやっぱり役者の演技でしょうね〜。勇猛な戦士から狂気の王へ、妻から悪しき王妃への変貌が見事!
 
 セリフが詩的でちゃんとシェークスピアしていました(笑) 原作を読んでいても思いましたが「まるで◯◯のように□□だ」って比喩的表現が多いですね。
 
 光や音、煙、スローモーションといった舞台的な演出や表現が随所にあり興味深かったです。
 
 ただ自分が読んだ時に感じて、頭の中で想像したのと結構ズレていたのが残念。もちろん知識とかが足りないだろうし、訳が違うものを何冊か読まないと偏ってしまうのでしょうけれど。(特に魔女!)
 
 原作を読んでいて印象に残ったシーンは映画でもやっぱり印象的に。『最初の戦い、王を殺すシーン、宴の場面……』
 映画だとやっぱり描けるもののスケールが違って来るから、小説や史実が元になっている作品は良くも悪くもなる。(直近だとレ・ミゼラブルはGood。エクソダスはbad)今作は……。
 
 あ、登場人物が皆んな髭を生やしたオジサンで混乱しかけた(笑)
 ちなみに、字幕翻訳は戸田奈津子さんでした。

 
 
 

 とりあえず原作の感想を少しだけ。自分が読んだのは光文社古典新訳文庫マクベスで、訳者は安西徹雄さん。
 
 恥ずかしながら、シェークスピアを読んだのは初めて。まず構成に驚きました。まるで劇の台本(当たり前だけど)!もっと小説チックなのかと思っていたんですが、ほとんどセリフで構成されていたり、登場退場や奈落に隠れるといった舞台演出なども書いてあって。
 
 で、感想は面白かったです!魔女の語り方が唄だったり(訳し方かも)、謎の予言の種明かしがあったり、狂気に支配されていく主人公など短い中で濃厚すぎる話の展開。セリフ回しが詩的で古風ですがそこがまた面白い!

 
 
 

 この作品でまず挙げるべきは"演技"でしょう。忠義強く勇猛なマクベスが魔女の予言を機に狂気と欲望、妄想に支配されていくという彼と妻の変化が一番の見どころである作品なだけにやっぱり役者の演技も上手!
 
 彼の演技は表情がとても印象的でした。冒頭の戦士としての力強い顔と鋭い目。王を殺す時の恐怖でこわばった顔、殺した後の無表情。宴で妄想が見える時の怯えた表情。怒りに燃える目。そして自らの運命を案じ、混乱した時の空虚で虚ろな目……。
 また、もう一人の主人公マクベス夫人は「Taxi」でリリー・ベルティノーを演じ、「サンドラの週末」で数々の賞を獲得したマリオン・コティヤール
 予言を聞き王殺害を夫にそそのかす悪女。彼女は声が怖かったです。自信と力に溢れた声、無感情で無機質なセリフ。顔の笑みとは裏腹の冷徹な言葉……。
 
 
 

 セリフが思いっきりシェークスピア!古風で堅苦しい上下関係の読み取れる話し方、自然や神話の言葉を使った「まるで◯◯のように□□だ。」っていう比喩表現が多かったです。
 
 このセリフ回しや表現を文字にした文庫を読んでいるときは「あぁ、文学的で綺麗な表現で面白いなぁ〜!」って思っていたんですが、映画のセリフ(字幕)になった時に「なんか聞きづらい(見づらい)なぁ…。」と感じました。やっぱり堅苦しくなるしセリフとして役者が言うというのは難しいんですかね?
 
 あ、あと今回の言語ってなんですか?……というのも字幕版で観たわけですが、聞こえてくるセリフの英語が普段聞くアメリカ英語(ハリウッド英語)とは少し違う気がしました。イギリス英語ってこと?それとも古風英語? (詳しく知らないのでテキトーです)

 
 
 

 で、映像が綺麗でした!
 まずイギリスの壮大で険しい自然。(う〜ん…例えが見つからないけどロード・オブ・ザ・リングの中つ国的な?笑) 周りを取り囲む険しい山々や霧、暗く湿っぽい天気。そういう風景が綺麗でした!
 
 そして光や音、煙、スローモーションといった舞台的な映像演出。これが秀逸なんですよ!!これを"良"と取るか"悪"とするかは観者次第ですね。
例えば激しい戦闘シーンをあえてスローモーションで映したり、魔女を霧(煙)の中に隠したり、一騎打ちは周りを真っ赤な煙と光で覆ったり。確かに見にくいという部分もありますが舞台脚本を原作とした本作においてこういう演出をするというのは上手いなぁ〜と個人的に思いました。

 
 
 

 ただ驚き、残念だったのは自分が文庫を読んた時に感じたイメージや印象と本作の映像や描き方に差があったことです。
 
 例えばマクベスか王を殺した場所は文庫には「マクベスの城」とあります。自分はこれを中世の要塞的な石城をイメージしていたんですが、映画では野営地に張るテントとして描かれていました。これはどうでしょう?
 
 とは言ったものの、自分は専門家でも、研究者でも、歴史家でもないので当時の状況を詳しく知らないですし、英語で読んだわけではないので本当の表現がどうなっているのかわからないですからね。でもイメージか違うというのは自分にとっては大きな問題なので。
 
 で、3人の魔女!マクベスの中で自分が一番好きなキャラクター。一番最初に登場するキャラ達で、物語の基となる詩的で謎に包まれた予言を言い、文章上では結構愛着の湧いたキャラだったんですが、映画では残念なことになってました。あろうことか一番大事な予言の部分も違っていたし。…………でも制作しているのは本国イギリスですから。もちろん改変部分はあるでしょうが間違ってはいないんでしょう。
 
 
 

 本作のように劇が原作であったり、こういう歴史スペクタクル的な内容の作品は映画にする事でCGを使えたり、編集が出来たりと表現の幅が一気に広がるのでそういう点ではいいですよね。
 
 でも一方で、生で演じる迫力や伝わってくる"ナニカ"もあるという事をお忘れなく。本作は劇で観たい作品だと思いました。映像ではなく生の演技を!

 
 
 

 あとは、お恥ずかしい話ですが………登場する人物がほぼ全員髭を生やしたお爺さんだったので誰が誰なのかわからなくなりかけました。
 
 それから、字幕の翻訳をしたのは戸田奈津子さんです。まぁ、ここまでいえば字幕に関しての心配は生まれませんよね?
 
 ……関係ないですが、シェークスピアの結婚相手の名前を知ってます?聞いて驚け「アン・ハサウェイ」ですって!(同姓同名です笑)