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『映画』や『アニメ』、『読書』や『美術館』などの思い出を残すために始めたブログです。完全に個人用なので読みにくかったらスイマセン!

【映画】BLAME!

 

 

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※ネタバレなし。
※原作未読者が語ってます。
※画像は予告映像のキャプチャです。

2017年5月24日

BLAME!
『生き延びろ──』



【評価:3.0/5.0】

【一言】

壮大な世界観と滑らかなCG映像が凄い!

ただ、『丁寧なデモ映画』って印象かな……。「映画を観た」じゃなくて、「映像を見た」が正しい感想かも。

 

 

目次

 


STORY


 未来。感染の発生によって人類が築き上げた“都市”へのアクセス権と制御権である『ネット端末遺伝子』を失った人間は、“都市”の意思によって排除の対象とされてしまった。以降、人間は“都市”の監視塔と排除実行ロボットから隠れながらの生活を余儀なくされていた。

 ある集落に現れたのは、全身黒いスーツを身にまとった男、キリイ。彼の目的は“都市”を止めるために『ネット端末遺伝子』を持つ人間を探すことだった──。


予告動画





 

 

 

 

詳細


監督:瀬下寛之
制作:ポリゴン・ピクチュアズ
原作:弐瓶勉BLAME!
主題歌:angela『Calling you』
キャスト:櫻井孝宏,花澤香菜,雨宮天 and more.
上映時間:105分
日本公開:2017年5月20日
配給:クロックワークス
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感想

感想外観


 とにかく壮大で濃い世界観と、丁寧で滑らかなCGアニメーションが良かったです!
 『映像化不可能と言われた原作を、CGアニメーション化』という宣伝文句に恥じない出来でした。ただ、それでも映像化メディアが映画というのはミス選択。



 『映像化不可能』というのは“映像描写不可能”という訳ではなく、“設定描写不可能”という意味なのかな〜と。 作品の膨大な情報や単語から成る世界観を映画2時間で表現するのはさすがに無理があります。

 でも、重要な部分であろう所を中心に綺麗にまとめ上げていたのは良かったです。飛躍した展開や整合性の不成立は無く、筋の通ったストーリーなので楽しめました。




 CGアニメーションが丁寧でした。制作会社と監督は『亜人』や『シドニアの騎士』などを手がけ、2017年公開のアニメ映画版『ゴジラ』も担当する実力会社。
 スピード感の溢れるシーンがとにかく綺麗でした。実写映画やアニメ作品では難しい複雑さと速さを描きつつもしっかりと場面の情報を観客に伝えていました。



 やはり消化不良感が否めません。ある程度の世界観構築をして壮大な背景を作ったにも関わらず、描かれたストーリーはほんの短い、取るに足らないような期間の出来事だけ。また、希望をチラつかせながらも、結局何も解決しないままエンディングという気がしました。


 2時間でまとまるのは無理ですよ。TVアニメシリーズとして12話とか、24話構成で設定や展開をもう少し細かく、大きく描いた方が良かったと思います。

 キャラクターの台詞も、各々の考えを口にするというよりは、説明的な台詞が多くて聴いていて大変でした。

 




 世界観もキャラクターも、バトルシーンもそれぞれかなり魅力的!SF好きにはたまらないかも!特に敵描写が良かったです。




 音楽が洋画、特にアメコミみたいでした。なので、『アニメの延長線としての映画』ではなく『映画としてのアニメ』という感じが伝わってきました。
 あと、『BLAME!』の映画内で使われていた文字フォントが機械的で格好良かったです。


  結局、『映画のストーリー内容を観た』と言うよりは、『映像描写が気になったから見た』という方が正しい気がしました。

 

 

 

 

映像化不可能


 『原作は映像化不可能』とい宣伝文句の作品をあまり見ていないので曖昧ではありますが、この宣伝文句の作品は以下の3つのタイプに分けられると思います。そして今作『BLAME!』は③ではないでしょうか。


①─広告のための誇大表現
②─本当に難しく、映像化作品は失敗
③─本当に難しく、でもある程度作品として成功

 の場合は映像にはする事が不可能と言うほど難しくなく、作品を見てもその難しさが大して感じられない場合が多いのかな〜と。
 は作品を見ていて「確かにこれは映像化は難しいわ」と感じられ、しかし映像技術が追いついていなかったり、設定が省略しすぎて骨抜きになってたりと失敗作となる場合。
 は鑑賞していればその難しさがダイレクトに感じられ、その上で作品として成立し、成功している作品。


 『BLAME!』は③でしょう!映像にする難しさと、それ以上に世界観を説明する難しさというのが伝わってきました。でも、映像は完璧だし、世界観説明も重要箇所と省略箇所とを上手く分けてコンパクトで壮大な世界観をしっかりと創り上げられていました。

 

 

 

 

CGアニメが綺麗


 CGアニメーションがとても綺麗でした。アメリカ映画『怪盗グルー』やピクサー作品とは違い、日本のアニメ調を保ったCGだというのが素晴らしいです。(まぁ、これはあくまで自分個人の趣向ですが)



 映像化についてはあんまり心配していなかったです(笑)。なにせ、ポリゴン・ピクチュアズ瀬下寛之監督ですから。
 『シドニアの騎士』は見ていないですが、『亜人』は良かったです。こちらも映像化不可能と謳われていた作品でしたが、見事にアニメ化しちゃいましたからね!
 このコンビ、2017年後半には脚本に虚淵玄氏を迎えてCGアニメーションゴジラ─怪獣惑星』を公開します。こちらも楽しみです。



 そして本作。CGアニメだからこそ実写化出来たという部分が大きいと思います。そのうちの一つが速さと複雑さを兼ね備えたシーンの存在です。


 スピード感のあるバトルシーンなどで印象的だったのですが、状況がスッキリと頭に入ってくるんです。とても滑らかで、かつ情報量が多かったのだと思います。

 滑らかさはスピードと合わせたときに映像の綺麗さに直結する要素だと思います。そして、CGだからこそとても滑らかな映像が作れたのだろうなぁ〜と。


 そして『情報量』という表現が適切かは微妙なところですが、激しいシーンを見た時に疑問に覚える所がほとんど無かったです。描くべきところをちゃんと描いていたというか、簡略化しなかったというか。



 映像ということでもう一点。今作は全編を通して薄暗い地下空間で描かれるのですが、その雰囲気は感じつつも、暗さは感じなかったというのが良かったです。




 それから、人物の繊細な心情や表情を描くのが上手でした。アメリカのCG映画の場合、喜怒哀楽って誇張表現されているように感じます。(歯を見せて笑ったり、涙流して泣いたり)
 でも、今回は微妙な表情の変化を上手く描いていたと思いました。



(う〜ん……今回、映像に関する感想はあまり上手く書けませんでした。スイマセン。)
 

 

 

 

 

若干残る、残念感

 

 最初で『丁寧なデモ映画』と書きました。映画作品として上手く映像化していたのですが、あと一歩足りなかったというか、もったいなかったです。



 まず、2時間という短時間で全部を説明するのが無理だったこと。それから「大きな話の一部を切り取って映画にした感」が全面に出ていたところ。

 特に後者が大きく感じられました。今作で完結するのではなく、むしろまだ入り口に立っただけのところでエンディングが来てしまった、キリイの行動の一部分を映像化したに過ぎない、そんな感じです。



 また、設定等の説明に関しても単語や用語を出して表面上は説明するけど、詳しい説明、根本的な説明というのはほとんどされませんでした。

 しかも、その説明の部分をキャラクターが担っているために、説明的で機械的な台詞が多くなり、キャラの感情や心情を写した発言が少なくなってしまったのが本当に残念です。



 映画の本編ではあったけど、『BLAME!』という作品の本編には触れただけ。そんな印象を持ったので『デモ映画』と書きました。

 ぜひ、TVシリーズとして12話、24話構成でシーズン1、シーズン2と長く十分な時間を取った上で映像化してほしいです!

 

それから、この『BLAME!』は過去にパイロット版というべき短編が同じスタッフによって制作せれています。
動画「BLAME! 端末遺構都市」


 

 

 

 

世界観・キャラ・場面


 世界観。詳しい説明はされなかったけれども、登場する用語から想像できる世界はとても魅力的です。人類が排除対象となりほそぼそと生きるようになってから数世紀後の世界。まさにSF作品の象徴的とも言えるような世界観。

 ネット端末遺伝子、建設者、駆除系、重力子放射線射出装着……。出てくる物体や物の固有名詞的な意味でしか受け取れませんでしたが、原作ではもっと深く細かい説明がなされているのでしょうね〜。




 キャラクター。魅力的と言うよりは定番って感じです。強く、生存することを第一に考える人間として当たり前の姿だと思いました。
 違和感に思ったのは、ヘルメットで髪の毛を隠すと『亜人』のキャラとそっくりなんです(笑)



 場面。やはり語るべきはバトルシーンでしょうね。冒頭部分でのバトルが一番良かったです。緊張感と絶望感に支配された感じが最高!
 予告動画などである、大量のロボット(駆除系)が襲ってくる場面はとにかく気持ち悪いです。

音楽と文字情報


 音楽がとても良かったです。普通のアニメ作品やアニメ映画と違ってアメコミ映画のような音楽で、『映画としてのアニメーション』という印象を大きく受けました。
 エンドクレジットも同じく、アメコミ映画チックでした。



 映画内に出てくる文字のフォントがとても気に入りました。漢字として判読できるけど、どこか宇宙語のような雰囲気のある感じです。


 







(今回、作品の完成レベルは高かったのですが、内容レベルはまだまだ未完成という印象で、それによって感想もかなり抽象的になってしまいました。)



 


以降ネタバレあり


 

 

 

 

キリイ


 無口で無表情、しかも強いなんて主人公の鑑みたいなキャラですね。映画の中で彼に対する説明がほぼ無かったのが凄くモヤモヤです。


 サナカンが「あなたはセーフガードから盗まれた」的な事を言っていたから、彼も人間じゃなくて“都市”サイドの存在なんですかね?


 冒頭で自己紹介の時にわざとらしく「人間だ」って言っていたのが凄く怪しく感じました。自分の正体を知っていて警戒されないように言ったのか、ただの挨拶なのか……。

 

 

 

 

バトルシーン


 バトルシーン凄かったです。特に冒頭の子供たち6人で挑んだ戦いは怖かったです。観客である自分がセーフガードの恐ろしさを知らない所で、まだ戦闘に慣れていない子供たちが襲われる姿を映されるというのは、なかなか衝撃的でした。


 駆除系の気持ち悪いビジュアルと動き方、結構好きです(笑)
 なんで人間の顔を模したような仮面を着けているのでしょう?なぜ銃ではなく潰す殺し方をするのでしょう? 単純に恐怖を呼ぶためなのか、語られなかった理由があるのか……。外見が不気味なだけに気になりました。
 それから動き方。超高速の四足歩行がめちゃくちゃ怖かったし気持ち悪かったです。

 

 

 

 

内容


 「結局、なんだったの?」という感想が湧き上がってくる構成、内容でした。
 先の部分で書きましたが、キリイの探索のたった数期間を切り取って映像にしただけですよね? こうなる前の世界の詳細、キリイの行為の結果など1番知りたいところが描かれていないのが凄く残念でした。


 「こういう映画で、こういう村があって、こうやって助かったよ」という伝承なだけだと思ってしまうと、とても内容が薄く感じられて残念です。

 

 

 

 


 集落の違和感がすごかったです。人類存続の極限状態に置かれたところで生存本能というか、種の保存本能が働いているような気がしてなりませんでした。


 子供たちが生還してきたシーンです。子供が死んでも悲しむ人はおらず、肉親らしき人物の登場もない。子供の死よりも、狩りの装備の有無を心配する姿を見ていると、まさに映画のキャッチコピー『生き延びろ──』を思い起こします。

 

 

 

 

用語


 用語、世界観の不説明が多かったです。深く説明しない事で物語が軽く短くなったのは事実でしょうが、さすがにこれは端折りすぎでは……?


 子供たちが求めていた『ドロドロ』ってなに?
 自動工場の原料はなに?
 目で機械を操作できたのは機械を埋め込んでるの?
 結局、他の人類の存在は?
 対セーフガードの結界の詳細は?
 ︙

 見ていて色々な疑問が湧きすぎたのが、残念なところの一つでもありました。






(今回、作品の完成レベルは高かったのですが、内容レベルはまだまだ未完成という印象で、それによって感想もかなり抽象的になってしまいました。)