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『映画』や『アニメ』、『読書』や『美術館』などの思い出を残すために始めたブログです。完全に個人用なので読みにくかったらスイマセン!

【アニメ映画】『リズと青い鳥』───言葉にできない“気持ち”と“本音”

※画像は予告映像のキャプチャです。

2018年4月21日鑑賞

リズと青い鳥

 

 

【評価:4.3/5.0】

 


【一言】

腫れ物に触れるような、静かで丁寧で淡い物語。

2人の少女の微妙な距離感と関係。
お互いに、言葉には表せない/表れない、“本音”や“気持ち”がそっと伝わってくるよう。


Twitter140文字感想 ⇩



 

 

ストーリー

 京都アニメーションによる『響け!ユーフォニアム』の新作スピンオフ。

 陽気な少女、希美。
 内気な少女、みぞれ。

 卒業近づく高校3年生、2人の関係と想いは、その距離を変えていく。


予告動画

 

 

カウントダウンコメント
 公式サイトにて、関係スタッフさんや監督さん方のコメントが掲載されています。

 

 


 

 

目次&メモを表示

 

【目次】

 

 


 

 

作品データメモ

監督:山田尚子
制作:京都アニメーション
原作:武田綾乃
主題歌:Homecomings「Songbirds」
キャスト:種崎敦美,東山奈央 and more.
上映時間:90分
日本公開:2018年4月21日
配給:松竹
公式サイト 

 

 

 


 

 

 

感想

 

感想外観

 

 ずっと一緒だった2人の少女の、2人だけの物語。
 お互いに触れてこなかった事が、いくつかの“きっかけ”で変わり始める様子が良かった。




 無口で気弱なみぞれ。
 活発で明るい希美。
 対照的な2人の物語が語られる本作。なんの疑問も感じずに過ごしてきた2人が出会った“すれ違い”。




 これまでずっと言葉にできず、話さず、言わなかった2人の気持ちの揺れ動く様子がとても丁寧でした。

 台詞として相手に伝えられない/られなかった心の中の“本音”や“気持ち”が、仕草や表情の変化で小さく、そっと丁寧に描かれていて印象的。




 多くを語らず、示唆や雰囲気で2人の微妙な距離感や想いの違いを見事に表していて、素晴らしいと思いました。

 特に、2人と劇中に出てくる童話『リズと青い鳥』をそっと重ね合わせる構成が綺麗です。

 そして、“音楽”が通わせる2人の心も。




 内容も、アニメーションも、色も台詞も、仕草も雰囲気も、凄く丁寧に描かれています。
 腫れ物に触れるかのように、優しく淡く描き出された物語は、観ていてとても悲しく感じたし、勇気ももらったし。




 来場者特典をしっかりと頂きました!!(表と裏の写真)




主題歌ミュージックPV

Homecomings「Songbirds」MV

 

 

 

 

 

2人の物語

 

 描かれるのは、ずっとずっと一緒にいた2人の少女たち。
 無口で気弱なみぞれと、彼女をリードするように元気で明るい希美。これまで何も考えずに、一緒に過ごしてきた2人が、お互いの事を想って、本音を話す。




 「このままでいたい」と「変わらなきゃ」という2つの気持ちの対立、「失いたくない」という愛。この他(ネタバレになるので)にも、彼女たち自身の口から溢れる様々な気持ち。

 2人の物語、2人“だけ”の物語が濃くて、優しくて、淡くて強くて。




 黄前久美子高坂麗奈
 黄前久美子田中あすか
 青春の真っ只中にいる“2人”にフォーカスして物語を動かすのが印象的な『響け!ユーフォニアム』。

 でも、本作は本当に「みぞれと希美」だけ。他の要素が介入する余地のないくらい、この2人の姿が描かれます。

 

 

 

 

 

言葉に表れない“気持ち”

 

 「思っている事を伝える」手段はいくつかあると思います。会話したり、手紙を送ったり、アイコンタクトしたり。

 でも、本作ではあまりそういう事がありませんでした。伝えたくても伝えられない、言葉に表せられない。

 そんなモヤモヤした気持ちが作品全体から感じ取れて、私はちょっと悲しい気分に。




 そして、物語では「誰に伝えるか」も重要です。
 登場人物同士の会話なのか、観客に感じ取ってもらうのか。

 本作では後者だと思います。主人公2人はお互いになかなか“本音”や“気持ち”を言葉にできず、伝えられない。

 でも、観客には彼女たちがどんな事を考えているか、思っているのかが薄っすらと伝わってきます。

 それは頬元の動き、視線の向き、手の握り方、歩き方。独り言、想像、相談。
 そんな小さい言動が彼女たちの言葉の代わりになるよに、代弁するように“気持ち”を私達観客に伝えてきます。




 観ていてなんだか、とっても応援したくなりました。

 

 

 

 

間接的に、描く

 

 上の感想と被る部分が若干ありますが、直接的に彼女たちの気持ちを描かず、間接的に描いているのが本当に上手だと感じました。

 教室に満ちた雰囲気とか、2人の間にある空気、差し込む光、上履きの足音。友達との会話や、果てはオーラのようなものまで。

 小さな日常や環境を積み重ねて、みぞれと希美それぞれの性格や考えている事を表していて、素晴らしかったです。




 また、劇中に登場する『リズと青い鳥』という童話と、みぞれ・希美の2人を重ね合わせるようにした物語の構成も秀逸でした。

 言葉に表さない事を、その絵本・童話が代わりに言っているような。もしくは、2人が感情移入しているような気がしました。




 あとは、やっぱり「音楽」ですよ。
 “音”に自分の気持ちを詰めて演奏する彼女。その違いが素人の私にもはっきりと伝わってきて凄いと思いました。


 思い返せば、高坂麗奈も、黄前久美子も、香織先輩も、皆んな音楽に想いを込めて演奏していたなぁ〜と思い出しました。

 

 

 

 

 

丁寧に、丁寧に。

 

 本作はこれまでの『響け!ユーフォニアム』のアニメとは全然違います。
 TVアニメでの『響け!〜』はキラキラ輝く楽器と青春を描いた濃いものでしたが、本作『リズ〜』は霞むような淡さと静かさのある作品。



 触れたら壊れそうな、腫れ物を扱うように丁寧に描かれた物語とアニメーションは、放っておいたら消えてしまいそうなほど、か細く感じました。

 スカートの揺れ、細い髪の一本一本、瞳の小さな動き。
 細かい部分が本当に丁寧に描かれているから、余計に目立つ(?)し、大切に感じてきます。




 そして、物語やアニメーションが静かで淡いから、主人公2人の感情の変化や抱いている想いがより一層に鮮明に感じられてくるのだと思いました。

 

 

 

 

 

ネタバレあり感想

 

ネタバレを表示

 

 冒頭の木琴とピアノの軽快なBGMにあわせて、みぞれと希美2人の違いがまじまじと分かるような校門から音楽室までの道のりがとっても好きです。



 みぞれと後輩ちゃんのやり取りは微笑ましかったし、段々と変わってく彼女の様子が良かったです。あと、無口な彼女を後輩が嫌ってなくて安心しました。




 みぞれが、リズの気持ちを分からないと言った後、青い鳥の気持ちを想像した時の、溢れてくる感情を理解したシーンに感動しました。



 後半、楽曲「リズと青い鳥」の第3楽章を通して演奏したいと言ったみぞれの勇気と、その演奏の変わりようが凄かったです。

 

 

 

 


 

 

 

以降、映画本編のネタバレあり

 

 

 

 


 

 

 

ネタバレあらすじ&感想

 

 ※童話『リズと青い鳥』の内容は割愛してます。以下、公式サイトの内容紹介から。

 

 

 

序盤

 

 森の中、集まった動物にパンをあげる少女が描かれる。彼女は、木の枝に止まった1羽の青い鳥に目が惹かれる。



 北宇治高校。
 日曜日の朝、鎧塚みぞれは校門の階段に座って待つ。軽快なBGMとともに現れたのは、黒髪の元気な傘下希美。

 地面に落ちていた青い羽を見つけた希美は、みぞれに渡す。
 みぞれは希美の後を真似するように、2人は音楽室へ向かう。





disjoint




 音楽室で、2人はコンクールの練習をする。みぞれはオーボエ、希美はフルート担当。
 コンクールの自由曲は『リズと青い鳥』という、童話に曲をつけたもの。希美はその絵本を図書館で借りていて、2人で読む。

 希美はあらすじをみぞれに聞かせる。そして、「私たちみたい」と言いながら、楽曲のソロパートを合わせようと提案。

 ソロパートのある第3楽章「愛ゆえの決断」は、童話の主人公リズが青い鳥を放す場面だった。





 タイトルバック。

 

 

 

 

 

前半

 

 進級した久美子たち2年生&3年生が続々と音楽室に集まり、新入の1年生もやってくる。希美は同パートの後輩と練習。
 一人になったのぞみは、小さく「本番なんて一生来なくていい」と囁く。




 そして一人教室の隅で、希美から借りた絵本を開いて読み始める。
 その後、後輩の剣崎梨々花が放課後のお茶会に誘ってくれるが、断るみぞれ。断られた剣崎は、嫌われているのではと心配で希美に相談するのだった。




 別の日、平日の学校。
 進路調査用紙を白紙で出したみぞれは、大好きなフグの水槽の前でぼんやりしていた。

 すると、向かいの校舎の音楽室にいる希美のフルートに反射した光が、みぞれの顔に当たる。小さく手を振る2人。



 別の日、やはり生物室にいたみぞれ。そこに新山先生がやってきて、彼女に音大を進める。

 そして、ソロに決まった希美とみぞれの第3章の掛け合い部分を指摘する。あの場面は、フルートとオーボエが、青い鳥とリズを表していると教える。




 新山先生との会話の帰り、みぞれは廊下で希美と会う。そして、先生から持った音大のパフレットを見た希美は、「私もその学校に行こうかな」と言う。

 それを聞いたみぞれは、「希美が行くなら私も」と嬉しそうに言うのだった。

 

 

 

 

 

中盤

 

 吹奏楽部の部長になった優子や副部長の夏記らとともに、音楽室で仕事をする希美とみぞれ。希美は、進路を音大に決めた事を話し、そしてみぞれ達をあがた祭りに誘う。



 一方、後輩の剣崎は再びお茶会に誘うも断られる。そして、彼女が涙を流しながらみぞれに話したのは、オーディオに落ちた事、先輩と演奏したかったという気持ちだった。

 別の日、希美はみぞれをプールに誘う。みぞれは、剣崎を誘うことにした。




 そして、自由曲『リズと青い鳥』の練習。しかし、ソロのみぞれと希美の演奏を聞いた滝先生や橋本先生は少し違うと伝える。

 そして、高坂麗奈もまた、みぞれに「希美とあっていないのでは? 本気の演奏が聞きたい」とはっきり伝えた。




 一方の希美も、あまり考えている事を喋らないみぞれの事が良く分からないと夏記に話す。



 廊下で会ったみぞれと希美。
 みぞれは、希美に「大好きのハグ」を求める。しかし、希美は言葉を濁してそれを断ってしまう。

 

 

 

 

 

 

後半

 

 希美、夏記、優子の3人は外から聞こえるトランペットとユーフォニアムの音色を聞く。久美子と麗奈の2人は「リズと青い鳥」の第3章を楽しそうに、力強く吹いていた。

 それを聞いた希美は、音大に進路を決めた事を「本当に音楽を続けたいのか、プロになりたいわけじゃない」と悩み始める。

 それを聞いた、優子は、希美の自分勝手さに対して怒りに声を荒げる。




 一方のみぞれ。
 どうしてもリズの気持ちが分からない。それを新山先生に話すと、先生は青い鳥の気持ちを考えてみるようにと伝える。

 すると、青い鳥の想いが自分の事のように感じられるのだった。



 そして全体練習の時、みぞれは第3章を一度とうしてみたいと滝先生に頼む。
 改めてもオーボエを吹いた彼女の演奏は、誰の耳にも素晴らしく聞こえる本気のものだった。



 演奏のあと、希美は一人そっと生物室へ。彼女を追ってみぞれも生物室へ。
 そこで2人は、お互いに自分が考えている事を話す。大好きのハグをしながら、思っていた事を伝える。

 

 

 

 

 

終盤

 

 みぞれは音大を、みぞれは普通の大学を。2人は別々の進路を選択し、それに向かって頑張る。

 それでも、放課後は一緒に、他愛のない話をしながら帰る。みぞれには、少しだけ笑顔が増えた。




 冒頭の「disjoint」の打ち消し語“dis”が消え、「joint」に。



 エンドロール。

 

 

 

 

 

 


 

 

 

 最後まで読んでくださり、
 本当にありがとうございました!!