『映画』や『アニメ』、『読書』や『旅行記』などの思い出を残すために、書き出したブログです。 私個人の目線で目線で書いているので、読みづらかったらごめんなさい!!読んでいただけると嬉しいです!!

【美術展】ミュシャ展

ミュシャ展 @国立新美術館



【一言】

 ミュシャの芸術的なポスターはもちろん綺麗だったけど、それ以上に20枚の連作『スラヴ叙事詩』の壮大さと美しさに息を飲んだ……。

 

 
目次

 



 

【概要】

 アール・ヌーヴォーを代表する芸術家のミュシャは、オーストリアモラヴィア(現チェコ)に生まれ、パリに渡りました。34歳の時に、女優サラ・ベルナール主演の舞台「ジスモンダ」のポスターを手がけ、成功をおさめます。

 美しい女性像や流麗な植物文様など、華やかで洗練されたポスター等を手がける一方で、ミュシャは故郷チェコやスラヴ民族のアイデンティティをテーマにした作品を数多く描きました。その集大成が、晩年の約16年間を捧げた画家渾身の作品《スラヴ叙事詩》です。古代から近代に至るスラヴ民族の苦難と栄光の歴史を映し出す壮大なスペクタクルであると言えます。

 本展はこの《スラヴ叙事詩》をチェコ国外では世界で初めて、全20点まとめて公開。パリで活躍したミュシャが《スラヴ叙事詩》を描くに至るまでの足跡を辿りつつ、これら最高傑作の全貌を一挙、紹介します。

 ※展示会公式ページより、一部改変。

『ミュシャ展』公式ページ

ミュシャ展PR動画 (公式)


ミュシャ展』公式Twitter

 

 





【感想】

 

〈感想外観〉


 ミュシャの美術的すぎる絵は本やTV等のメディアで見ていて綺麗だと思っていました。彼が描いたアール・ヌーヴォーの装飾を取り入れたポスター群は確かに綺麗ですが、印刷物ということもあってか本や雑誌等との印象と大して変わりませんでした。ようするに、どのメディアで見ても同じような綺麗さ、感想ということです。

(『サラ・ベルナール』)


 しかし、『スラヴ叙事詩』は違います! お恥ずかしい話ですが、『スラヴ叙事詩』が20枚もの連作とは知らなかった点が1つ。2,3作品は見たことがあるので知っていましたが、20作品もあり、今回其れが全て観れたのですから嬉しい限りです。
 そしてその大きさ。約6m×6mもの大作だということを知りませんでした。やはり、実物を観るって大切です!


 あと、大きさって単位が何かで印象変わりますね。展示品目録では「cm」ですが、「m」の方が大きく感じます。
 ex.)『現故郷のスラヴ民族』
   610✕810cm➜6.1✕8.1m



 以降の感想ですが、『スラヴ叙事詩』と『印刷物系』の2つに分けて感想を書きます。8割ほど前者に偏ると思いますが、ご了承ください(笑)

 




〈スラヴ叙事詩

※番号と順番は連作順です。
※連作の順番と制作順番は一致しない作品があります。


 ミュシャの『スラヴ叙事詩』のシリーズ20作品は近くで見るものじゃないと思いました。600✕600cm前後の大きな絵を前にしたときにそう思いました。近くから技法や描写技術を鑑賞して賞賛する作品ではなく、絵の全体が目に入る距離から眺める作品だと。そして、作品の雰囲気とミュシャが込めたであろうメッセージを“感じ取る”べき作品なんだろうと思いました。

(撮影可能エリアにて撮影)



 『スラヴ叙事詩』は全体的に色が優しいです。明るく薄い色を多用しており、影や闇を描く場合でもどこか温かみの残る絵になっています。
 そして、照明を強く当てているわけではないのに、絵全体がそれ自体でぼぉーっと光り輝いているように感じました。



 それから、このシリーズの20作品には1,2作品を除いて全てに画面のこちら側、つまり観客に目線を向ける人物が描かれているんです。無言の彼らですが、その目が“何か”を訴えて来たような気がします。

⑮『イヴァンチツェの兄弟団学校』より

 

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現故郷のスラヴ民族────トゥーラニア族の鞭とゴート族の剣の間に


 『スラヴ叙事詩』の1枚目。侵略してきた敵部族からのがれるために隠れた2人の女性。彼女たちの見開かれた目から感じるのは恐怖?憎しみ? 瞳が描かれていない事が何を考えているか分からない怖さを出してました。
 

 大きな絵ですが、見たときに最初に目に入るのが上述した2人の女性。そして綺麗な満天の星空に気が付きます。これが本当に美しいんですよ。濃い青の空に光る白い星が。

 そして右側にいる神様。スラヴ雰囲気の服装がとても気に入りました。 背景に侵略民族がいる事は解説されないと気が付きにくいです。闇に紛れていて、影になっていて。

 
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ルヤーナ島でのスヴァントヴィート祭────神々が戦いにあるとき、救済は諸芸術の中にある


 神々が美しいです。特に左上部から狼に乗って攻めてくる戦いの神が好きです。天に浮かぶ鎖に繋がれた奴隷たちがいるなど、ギリシア神話のような輝かしい神ではなく、争いの多いスラヴ民の崇拝する神の現実的な姿のような気がします。


 神の足元に沢山いる人々、そしてこちらを向く女性。彼女の目が窪んでいて表情が読み取れない所が工夫されているように思いました。

 
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スラヴ式典礼の導入────汝の母国語で主をたたえよ


 『背面の“人”の物語』と『前面の“神”の物語』の2層に分かれているように感じました。(他の絵でも似たような感覚ですが、この絵は特に。) そんな感覚になったのはまず背面と前面で色が全く違うという点。
 背面は白が目立つ明るい色であるのに対して、前面は藍色のような暗い色であるという点。 
 そしてもう一つは輪を持った少年やその他神様数人が絵の枠からはみ出しているという点。3D効果のある絵やトリックアートではこの技法(?)を使用しているように思います。

 白と黒、明るいと暗いの対比が印象的でした。

 
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ブルガリア皇帝シメオン1世────スラヴ文学の明けの明星


 王宮の模様がとても綺麗です!『アラビアンナイト』に出てくるような?(時代も場所も建築様式も違いますが) 絵からは皇帝の威厳と、学者の賢明さがにじみ出ているように感じました。
 学者の衣服もですがそれ以上に、書物の紙質が好きでした!

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ボヘミア王プシェミスル・オタカル2世────スラヴ王族の統一


 赤色(?),フクシャ色 (?),唐紅色(?)がとても印象的な1枚。マント、絨毯、ローブ、壁の装飾……etc.
 そして、宝石と金の装飾の輝き、光が豪華で綺麗でした!


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ローマ皇帝として戴冠するセルビア皇帝ステファン・ドゥシャン────スラヴ法典


 戴冠式のパレードにしては人々の表情などがあんまり楽しそうじゃない、嬉しそうじゃないのが気になります。描かれた題材の時代は「スラヴの春」と呼ばれる盛期だったらしいのですが、顔から影になっているんですよ。 描きたくなかったのか、観客に自分の顔を当てはめて欲しいのか、ただの作風なのか……?
 

 そうは言っても、装飾品や献上品は豪華です。そして一番前面で花を持ちこちらを見る少女。彼女のピンクの花冠が綺麗です!

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クロムニェジーシュのヤン・ミリーチ────「言葉の魔法」〜娼館を修道院に改装する


 20枚の『スラヴ叙事詩』の中でも『言葉の魔法』としてミュシャがまとめた4枚の絵の1つ。


 正直な感想としてはこの絵に関しては「びみょー」という感想でした。描かれた場面としては娼館が修道院に改装され、女性たちの地位の改善と言語教育による国民意識の変化などがあるのでしょうが、“絵画として伝わってくること”が少ないような気がしました。
 人々がいて、廃墟(?)に女性たちがいるという場面しか絵から分からないのがとても残念に思いました。






グルンヴァルトの戦いの後────北スラヴ民族の連帯


 戦闘の後、死体が散乱する絵。それなのに色が薄明なことによって残忍性・残酷性を感じさせません。むしろ憐れみとか悲しみが漂った一枚と感じました。 “穏やかさ”はないけれども、“悪意”を感じさせない絵でした。


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ベツレヘム礼拝堂で説教をするヤン・フス師────「言葉の魔法」〜真理は打ち勝つ


 『言葉の魔法』シリーズの1作。
 暗い影になっていて見づらいのですが、それでも分かるのは天井のアーチの美しさ。そして、暗い礼拝堂内でスポットライトのように光が差してきて人物を照らしている様が印象的。
 群衆に向かってフスが訴えている姿が自信に溢れているようで格好いい!

 
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クジーシュキでの集会────「言葉の魔法」〜ウトラキスト派


 手前の影と奥の明かり。赤旗と白旗が印象的です。太陽を型どったオブジェ(?) 崇拝印(?) が格好良くて好きです!
  白旗=生
  赤旗=死
 を暗示しているそうです(解説より)。なのに、白旗は枯木、赤旗は若木に結ばれているのが暗示的というか、気になりました。

 
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ヴィートコフ山の戦いの後────神は力ではなく、真理を体現する


 スポットライト効果の素晴らしさ! 手を合わせて立ち、祈る騎士と並べられた盾に当たる光が神々しいです。あの盾は死んだ仲間のなんですかね?
 左手前の憎らしげな目をした女性が強い印象を与えます。奥の明るさとは対象的に暗い場面です。
 何も描かれていない、どんよりと雲の降りた空がまた思わしげです……。


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ヴォドニャヌイ近郊のペトル・ヘルチツキー────悪に悪で報いるな


 淡い色だからこそ“憂い”のようなものが感じられました。『無言の訴え』とか『声なき悲しみ』って言葉がしっくりくるような絵でした。

 


 


フス派の王、ポジェブラディとクンシュタートのイジー────権威を求める争い〜民主政の国王イジーと神政のローマ


 ローマ教会の使者の顔がそれっぽくて好き。イジー王が椅子を蹴り飛ばした場面なんだから、相当緊迫したシーンなんだろうけど、絵として観賞する側からするとすごく落ち着いて状況把握が出来るのは、静止画っていうのと、ミュシャの色遣いなのでしょうね〜……。



 

 


ニコラ・シュビッチ・ズリンスキーによるシゲットの対トルコ防衛────キリスト教世界の盾


 異様。
 まず前面の黒く爛れたような部分が他の絵には一切ない違和感を覚えます。解説では煙を表しているらしいです。
 そして絵から伝わる激しさ。それまでの作品は柔らかくて優しい感じがしたのですが、これは炎や喧騒が聞こえてきそうな激しさがありました。

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イヴァンチツェの兄弟団学校────クラリツェ聖書の印刷


 淡い光が綺麗な絵です。
 こちらを向いている少年がイケメン!!(それ以外に感想がないです。スイマセン。)

 




ヤン・アーモス・コメンスキーのナールデンでの最後の日々────希望の明滅


 偉大な指導者の死。
 大きな画面を広く使った絵という印象。
 空の空白感と画面を左右に分ける溝が損失感や生死を表していそうです。

 
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聖アトス山────正教会のヴァティカン


 不思議な感じ。背景の神々の世界が怪しいなぁ……。思えば神々の姿、アストラル体を描いたような部分の淡いエメラルドグリーンの色は今まで使った事がない色です。宗教ポスターみたいです。

 





スラヴ菩提樹の下でおこなわれるオムラジナ会の誓い────スラヴ民族復興

 喜びが強く溢れている絵でした。描かれた人々が凄く明るくて陽気で生き生きしていました。
 それでも、意図的に未完成で残されたというのはまだ将来の幸福を望んでいるのですかねぇ〜。

ミュシャ展』公式Twitter






ロシアの農奴制廃止────自由な労働は国家の礎


 ロシア、赤の広場。背景の灰色の空の感じが寒々しく冷たいロシアの空を見事に連想させました。着込んでいる服も極寒の地域の服ですね。






スラヴ民族の賛歌────スラヴ民族は人類のために


 宗教プロパガンダポスターみたいです。でも、最後に相応しい絵なのかもしれません。「走馬灯」というか、思い出と想いをギュッとつめた歴史書みたいです。スラヴの集大成。



 

 


ミュシャ作品〉

 

 展覧会では
  Ⅰミュシャアール・ヌーヴォー
  Ⅱ世紀末の祝祭
  Ⅲ独立のための闘い
  Ⅳ習作と出版物
 の4つに分けて展示してありました。が、感想の方では全部をまとめた上で印象に残った作品を挙げていきます。有名な作品が多くなるとは思いますがご容赦を。(あまりに人が多くてゆっくり見られなかったというのもあります)
 また、具体的な感想というよりは、好きだった作品の紹介になると思うので、その辺もご了承ください。


 全体的な感想として、アール・ヌーヴォースタイルの作品、花で囲われた枠、文字装飾や人物、草木模様などがとても綺麗でした。
 ポスターとして文字情報と芸術性とが見事に一体となった美術品だと思いました。




《四つの花》


四つの花「カーネーション
四つの花「ユリ」
四つの花「バラ」
四つの花「アイリス」

 妖精みたいで、綺麗で美しいとしか言えないです。女性と花の組み合わせってとてもキレイですね。
 この他に『《四芸術》詩,ダンス,絵画,音楽』も展示してありました。この四つシリーズ大好きです! 出来ることなら他のシリーズ『《四季》春,夏,秋,冬』『《四つの宝石》トパーズ,アメジスト,ルビー,エメラルド』『《星》月光,宵の明星,北極星,明けの明星』も見たかったです!





王道十二宮


 とにかく有名な作品ですよね。美しい装飾、髪、星座。観た瞬間に「ミュシャだ!」と分かるような作品です。ちなみに、自分はてんびん座です。





ラ・ナチュール


 彫刻です。ミュシャの絵の作風が見事に立体像に起こされました。この像好きです!長い髪の艷やかさと、大きなアメジストが綺麗!!





プラハ市民会館 市長ホールの壁画

(画像は『公正──教父ヤン・フス』です)

公正──教父ヤン・フス
英知──ブシェミスル朝のエリシュカ
闘う魂──ヤン・ジシュカ
堅固──ドゥベーのローハチ
想像力──ペルンシュテイナのヤン
独立──ポジェブラディのイジー王
誠実──ヤン・アーモス・コメンスキー
警護──ホットの人々

 連作というか、シリーズですかね? 形も含めてアートだなぁ〜と思いました。言葉には難しいですが、好きです!
 この形、もともとなのかと思っていたら壁画なので建築構造に合わせた結果の形のようですね。でも、形まで作品の一部のように見えます。





《同胞のスラヴ》シリーズ

第一幕「アルコナの収穫祭一家
第二幕「聖霊降臨祭」
第四幕「フス派の王」
第五幕「国民とスラヴ民族の友好(国民劇場の船)」
第五幕「国民とスラヴ民族の友好(ソコルの船)」
第五幕「国民とスラヴ民族の友好(民族衣装の船)」

 ポールペンなのにこんなにも『ミュシャしてる』のがすごいと思いました。やはり画家でスタイルが出るんですね〜。

 




演劇ポスター



ジスモンダ
ハムレット
メディア
ロレンザッチオ
トスカ

 演劇ポスターです。どの作品も劇の内容はほとんど知らないのですが「(劇公演を)観たい!!」と思わせるような豪華さときらびやかさ、芸術性とポスター性を併せ持っています。個人的には『メディア』の妖々しさが好きです。









 以上、『ミュシャ展』の感想でした。
 有名ではあったものの、期待度はそれほど高くなかったのですが、実際に実物を目にすると「美しいなあ〜……」と思いました。『スラヴ叙事詩』の大きさと優しさが特に印象に残った展覧会でした。








 




───余談───

 ミュシャ展の『スラヴ叙事詩』は大きいから、設営が大変そうです。

設営風景


ミュシャ展』公式Twitter

 



 


 

(雑談)
 六本木の国立新美術館にて『ミュシャ展』を鑑賞したあと、六本木ヒルズに向かう予定がありました。徒歩圏内ということは調べてあり、丁度近くに美術館スタッフの方がいたので道を聞きました。

ArA「すみません、ここ(国立新美術館)から六本木ヒルズへはどう行けばいいですか?」

スタッフ「お客様、六本木ヒルズならあちらに見えますよ」

 そう言ってスタッフの方が示した方向に目をやると、デ~~ンとそびえるビル──六本木ヒルズが見えたのでした…………………(恥ずかしい///)

(正面に見えるガラス張りのビルが『六本木ヒルズ』。背後のガラス張り建築物が『国立新美術館』)

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