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『映画』や『アニメ』、『読書』や『美術館』などの思い出を残すために始めたブログです。完全に個人用なので読みにくかったらスイマセン!

【映画】『新聞記者』:[酷評]これは《政治批判》でなく、単なるフィクション・サスペンス。

※ネタバレなし。
※画像は予告映像のキャプチャです。

2019年7月4日鑑賞

新聞記者

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【評価:2.4/5.0】

 
【一言】

官邸主導と言われる現在。

これって本当に「政治批判映画」なの?
「官邸」と「メディア」という視点は面白い!
“フィクション”としても微妙。
公文書改竄、虚偽答弁、大学設置問題、官僚の辞任、そして自殺……と確かにホットな話題を取り入れていたけど……。

 
【Twitter140文字感想】

 

 


 

 

【目次】

 

 

 

STORY&STAFF

 

東都新聞の記者・吉岡エリカのもとに、医療系大学新設計画に関する極秘情報が匿名FAXで届く。真相を突き止めるべく調査に乗り出す。一方、内閣情報調査室の官僚・杉原は、現政権に不都合なニュースをコントロールする任務に葛藤していた。そんなある日、杉原は尊敬するかつての上司・神崎と久々に再会するが、神崎はその数日後に投身自殺をしてしまう。真実に迫ろうともがく吉岡と、政権の暗部に気づき選択を迫られる杉原。そんな2人の人生が交差し、ある事実が明らかになる。
映画.com

予告動画

 

監督:藤井道人
原案:望月衣塑子
製作:河村光傭
音楽:岩代太郎
キャスト:シム・ウンギョン, 松坂桃李 and more.
主題歌:OAU「Where have you gone」
上映時間:113分
日本公開:2019年6月28日
配給:スターサンズ
公式サイト

 

 

 


 

 

 

映画を観る前に見て!

 

 ぜひ、こちらの動画を見て頂きたい!

 米リベラル系メディア「ハフィントン・ポスト」が朝日新聞と合同で行なう「ハフポス日本版」のチャンネルで公開されている討論動画です。

 内容が非常に良くできていて、基本的な部分が押さえられていると思うので、是非!


登場者は、
・望月衣塑子東京新聞記者)←本作原案者
前川喜平(元文科省事務次官天下り問題で'17辞職
・南彰新聞労連委員長)
マーティン・ファクラー
   (元NYT東京支局長)

Part1. 内閣情報調査室


Part2. 権力とメディア


Part.3 これからのメディア


ハフトーク「権力とメディア」

 

 

 


 

 

 

映画の感想

 

感想外観

 

 約1年ぶり、昨年3月の『四月の永い夢』以来となる邦画の鑑賞です!

 世間的な前評判もあり、参院選前という時期もあり、そして官邸主導と言われる現在に公開される「政治批判」の映画として、非常に楽しみにしていたのですが───。

 内閣府の下に位置する内閣情報調査室 (内調, CIRO)」が主軸ですね。




 これって、本当に政治批判の映画なの?
 まず最初に感じたのはこの点。作品名にもあるように、現代日本におけるジャーナリズムや政治を批判的に描く内容であるのは事実です。

 根底にその考えがあっても、しかし映画の内容が“そう”だとは決して思えません。

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 「官邸」と「メディア」という視点は良かった!

 原案が記者だからか、情報リークや政治圧力の方法の描かれ方はある程度の真実味があると感じたし、“サスペンス”的な意味でも面白かったです!



 物語は「内閣情報調査室」VS「新聞記者」という構図。

 描かれ方が気に食わない
 内調は《悪》で、記者が《正義》という構図で、内調をこれでもかと“悪の組織”のように描く描写には腹が立ちました。


 結局、『007』の敵組織「スペクター=内調」で、正義の「ボンド=主人公」という、定番の構図をサスペンス風に読み替えて、日本版にアレンジしたに過ぎないのでは?

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 あと、主人公の女性記者になぜ韓国女優を起用した?
 別に「嫌韓」の思想がある理由でなく、単純に映画を見ていて設定や演技に大きな違和感を覚えたからです。政府追求をするなら日本人記者で良くない?

 一方で、内調の官僚を演じる松坂桃李は素晴らしかったです!
 国家権力と自身の正義の間で揺れるという、難しい立場の人間を見事に演じていたと思います!

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 確かに、台詞は印象的なものが多かったです。

 「この国の民主主義は形だけでいい」
という台詞が映画レビューサイト等を覗くとピックアップされています。この台詞も衝撃的だし、その他も揶揄的・批判的で非常に印象的でした!

 

 

 

 

これは政治批判映画か?

  

 まず前提として、製作側が「政治批判」として捉えているのかは微妙です。ポスターに「内閣官房 VS. 女性記者」とあるので、大きく外れているとは思いませんが。
 「真のジャーナリズムとは?」とか「この国に新聞記者は必要か?」とかの視点もあることは意識する必要がありますが。

 事前のPR等や世間評判等を観ると「政治批判」という言葉が踊っていて、非常に楽しみにしていたのですが、その視点で観る作品ではないのかも、と思いました。

 まぁ、そもそも私自身が「政治批判作品」とはどんなものなのか具体的に理解しているわけではないので、間違っているかもしれませんが。

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 確かに、現代日本における既存のジャーナリズムへの批判や横暴甚だしい現政権への警鐘、官邸主導に徹する省庁や官僚への批判は“それなり”に含まれていたと思います。

 ただ、根底にその考え方があったとしても、しかしこの映画の中身が“そう”だとは決して思えませんでした。

 実際に劇中では「政府はこんなに悪いことをしているぞ!」と声高らかに罵るような内容が描かれるのですが、「それはフィクションだろ」とツッコみたくなるもの。
 以降の「文句&悪口」の部分でも書きますが、描き方が悪かったし、物語の切り取る部分が悪かったのではないかな、と思います。 

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 現在の日本で制作・公開を行った意義は大きいと思います。
 霞が関も永田町も内閣主導で動き、大手メディアも首相の意向に靡くような社会の中で、官邸を「悪者」に据えて、それもノンフィクションに近い形態での内容は非常に勇気がいることだろうし、凄いと思います。

 けど、内容がなんとも……。
 やっぱり、外国の映画と比べてしまいます。
 昨年2018年にはトム・ハンクス主演でワシントン・ポスト紙が権力に負けず、米政府のベトナム戦争に関する政府文書をスクープした実話をスピルバーグ監督が『The Post (ペンタゴン・ペーパーズ)』として映画化。


  また、今年2019年には米国で「影の大統領」と呼ばれ、イラク戦争開戦に導いたディック・チェイニー副大統領の伝記を描いた映画バイスが公開されました。


 どちらも、内容は政権批判で、しかも実名を出し、さらに「ジャーナリズム」の存在を強く問うていた点が印象的な作品でした。

 もちろん、まだまだ日本の映画はこれからで、むしろ本作がその下地を作ったという見方も可能です。しかし、作品単体の内容を観ると、やっぱり「政治批判ではない」と思わざるを得ませんでした。

 

 

 

 

官邸vs.メディアの構図

 

 「政治批判ではない」と感想を書きましたが、「官邸VS.メディア」という構図での物語、批判(?)は非常に面白かったです!

 政権からメディアへの圧力は絶対にあると思うし、その内容を説明的な部分も含めて描いた点は面白かったし、納得というか、一つの見方を知りました。

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 原案が記者だからですかね。
 ハフポストのインタビューで望月記者が「彼らは絶対に直接は圧力をかけないけど、新聞会社や人間関係を辿って影響を及ぼそうとする」という趣旨の発言をしていました。

 私の個人的な知り合いからも似たような話しを聞いたこともあり、この点はほぼ確実なのではないかな、と思います。

 フィクションとはいえ、その圧力の流れが見られたことは興味深いと感じました。一般の市民からは見えることのない、ある種ブラックボックス」的な現状を映画という形で可視化した点は良かったと思います。



 官僚の権力闘争の為の情報リーク、現政権維持の為の虚偽情報拡散、各報道メディアへの圧力と影響、個人的な私生活に入り込む官邸の魔の手。

 近年では、本来は政治から独立し、チェック機能を担うはずの大手メディアまでもが現政権側の立場にあるといわれる現代日本
 実際に、ニュースを見て、あとはネットの情報とかも同時に参照すると、「報道すること/しないこと」の差が如実にわかることもあるし、あえて報道で触れない情報があるのも事実だと思います。

 そんな中で、「官邸の影響」とか「政治の圧力」とかを描いたのは、普段目にするメディアを改めて問い注視する必要性を思い起こさせるものだったと思います。

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正義vs.悪党の空想映画

 

 現安倍政権下での内閣が強い状況、官邸主導といわれる状況の中で、メディアを通した「政治批判“的”なこと」を描いた点は一定の評価ができると思います。

 しかし、その描き方が気に食わないし、そこが失敗だと思うし、単なるフィクションの域を出ないと感じた点もここにあるのかな、と。



 というのも、

・官邸=悪
・記者=正義
という構図が固定化しています。もちろん政治批判作品やプロパガンダ映画では当然の構成ですから、ここは問題ないと思います。

 けど、その官邸=内閣の下に所属する内閣情報調査室」という組織をまるで《悪党の手先》みたいにこき下ろし描いた点には腹が立ちました。
 むしろこれこそ、印象操作の最たるものではないのでしょうか?

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 もう、ハリウッド映画と変わらない陳腐さなんです。(別にハリウッド映画が陳腐なわけではない)

『007』
悪党:敵組織「スペクター」=内調
正義:スパイ「ジェームズ・ボンド」=女性記者

とか、ハリー・ポッター
悪党;闇の魔法使い=内調
正義:ハリー・ポッター=女性記者

とか、『ミッション・インポッシブル』
悪党:敵組織「シンジケート」=内調
正義:イーサン・ハント=女性記者

とか、そんな現実をフィクションと勘違いして脚色してしまった痛い映画と感じてしまいました。



 内調は「暗い部屋でPCのキーボードを叩く」というハッカー感ある描写で情報操作や違法捜査をしていると徹底的かつ分かりやすく単純に描かれます。そこにいる官僚がさもロボットのように描かれたのは心底腹が立ちました。

 悪vs.正義の構図を簡略化しすぎたからか、内調の描き方を強調したからか、海外アクション映画の定番構図を日本版に置き換えて、サスペンス風に編集しただけの陳腐さですよ。

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(まぁ、むしろ海外映画の設定が現実に即しているようなリアル感があって凄い、という評価の仕方も出来ると思う気持ちもありますけどね。)

 

 

 

 

なぜ韓国俳優を起用した?

 

 主人公の女性記者を演じたシム・ウンギョン。
 彼女の著名度とか活躍度とか評判とかは一切分かりませんが、なんで韓国人俳優を起用したのでしょうか?

 最初に一点明確にしておきますが、決して「嫌韓」とか「反韓」の思想が入っての感想ではないことを書いておきます。



 普通に、映画に違和感を感じました。

 日本の政治の真相を追う正義感に溢れた女性記者なのに、劇中ではカタコトの日本語で喋っていて、観ていてイライラしました。



 通常の政治やジャーナリズムの世界ではバイリンガルが重要だろうし、カタコト日本語でも全く問題ないと思います。
 けど、これは映画でフィクション。日本人記者が取材するほうが自然だし、流暢な説明をされた方が観ていてより物語の本質に迫れるのではないでしょうか?

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 彼女の設定は「米国に生まれ、日本に来て記者をする」という謎の人生で、日本人父と韓国人母のハーフで、ジャーナリストだった父を追って日本に来た、というバックグラウンド。

 なんでこんな面倒くさい設定にした?
 別にちゃんとした理由が劇中で完結されていれば、韓国人だろうが何人だろうが起用して構わないのですが、こんなチープなものでは納得できません。

 そりゃ、何かしら監督の思惑があるのかもしれません。
 けど、いくら映画外のインタビューでその理由を語っても駄目で、映画本編中で「あぁ、この配役で正解だな」と観客が感じられる必要があるのではないでしょうか。



 その点では、松坂桃李は素晴らしかったです!

 内調に出向する官僚として、(映画内では)上からの指示で悪事に手を染めながらも、自身の正義観との間で板挟みになるという、難しい役を見事に演じていたと思います!

 彼こそまさに、「あぁ、この配役で正解だな」と思わせた適役でした!

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台詞が興味深い!

 

この国の民主主義は形だけでいい

 劇中での内閣情報調査室のトップ・内閣情報官の発言。

 これは映画.comとかFilmarksとかの映画レビューサイト等を覗くと多くピックアップされている台詞です。

 この作品に限ると、台詞というツールは、制作者が「どう政治批判したいか」を如実に示している分かりやすい観点だと思います。 

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 確かに、劇中の台詞は印象的なものが多かったです。

 特に内調関係者の放つ台詞はどれも、現代日本に噴出する問題を“内側から”発するという方向で強く印象に残るものでした。

安定した政権を維持させることが、この国の平和と安定につがる

という台詞も至極当然のものに聞こえますが、そのために情報操作を行っている姿と合わさると、怖いものを感じます。



 一方で、女性記者の言葉は刺さりませんでしたね……。

 先ほどのカタコト日本語という部分もあるし、それ以上になぜか「正義」を熱く語っている姿が痛いというか、冷たい視線を送らざるを得ないような、そんなキャラクター描写だったからでしょうか。

 ただし、実際の現実の記者さん方がどんな思いで報道活動を行われているか、それは実際に現場を見たり聞いたりする必要があるし、素晴らしい記者さん方もたくさんいるので、これはあくまでも劇中での話です。

 

 

 

 

映画の題材はタイムリー!

 

 映画の中身となる題材は非常にタイムリーでホットな話題ばかりで、観ていてとっても面白かったですし、場所によっては笑ってしまいました(笑)

 森友学園問題を想起させる公文書改竄や虚偽答弁、加計問題を彷彿とさせる大学設置許認可関連、官僚や事務次官の辞任、さらには官僚の自殺まで。

 いま、まさに現在進行系で話題となっている題材を所々に詰め込んだ点は面白かったし、これは映画やドラマのような媒体でないと決してできないことだろうな、と思いました。

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 それから、特別ゲスト?として、東京新聞の望月記者、元ニューヨーク・タイムズ紙東京支局長のマーティン・ファクラー、そして天下り問題で辞職した元文科省事務次官前川喜平ら本人が出演。

 ちょっと、さすがにコレには笑いました(笑)  いや、これは本当に凄いですよ! この点に関しては相当の拍手を送りたいです!!!

 

 

 

 

補足:フィクション映画として

 

 なんか、「政治」に関する感想だけになってしまいました。
 感想の流れ的にこの展開が1番いいと思ったので。

 なので、最後にちょこっと「フィクション映画」として観た時の感想を書いておきますね。



 フィクション映画としては比較的面白かったと思いますよ。

 少し乱暴で極端な言い方をすれば、「政府の陰謀に立ち向かう正義の記者」という構図でのサスペンス映画ですね。エンタメ性も非常に高いし、誰もが観て楽しめる作品だと思いましたよ!

 官邸の隠す真実にたどり着いた時には、「おぉ、そういうことなのか」と強く思いましたし!



 まぁ、だからこそ、ここまで延々と述べてきたことが頭にくるわけですけど(笑)

 

 

 


 

 

 

以降、映画本編のネタバレあり

 

 

 


 

 

 

映画の感想
※ネタバレあり

 

日本政治を意図する台詞

 

 個人的には、この映画で1番印象に残っているのは、登場人物たちの台詞でした。

 非常に端的に映画の趣旨を表わしていると思ったし、上の感想でも書いたように、「政権内側の立場」からの発言というのが、興味深かったです。

 逆に言うと、制作者が「どう政治を批判したいか」が如実に現れるのが、この台詞なんだろうな、と。 

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内閣情報官・多田智也。

最後の場面で杉原に放った言葉。

この国の民主主義は形だけでいい


仕事への違和感を抱く杉原へ、

安定した政権を維持することが、安定した政治につながる

これも国を守る大事な仕事だ


個人的見解だと指摘した杉原に対し、

だからどうした?


虚偽情報の拡散を非難する杉原に、

ウソかホントかを判断するのはお前じゃない、国民だ


 ある意味では、こんなにも鋭い言葉をよく何度も発言するなぁと思いますよ。



 あとは、
背景音声で流れた望月記者の

ジャーナリズムとは何なのか、記者は問い続ける必要がある


杉原の外務省時代の上司・神埼の

責任をとったら今後も面倒をみてくれる


そして神埼が自殺する間際の

俺たちは何を守っていたんだろうな




 これらの台詞が印象的でしたし、この部分って制作者側が伝えたかった、描きたかったことなのではないでしょうかね。

 

 

 

 

女性記者:吉岡エリカ

 

 父親を自殺で亡くし、父の後を追うように日本の新聞ジャーナリストになった彼女は、「真実を解明する」という正義観と使命感に突き動かされるように取材と調査を行います。

 政治部ではなく社会部に所属しているから、若干の動きやすさはあったのでしょうけど、少し自由すぎにも映った点が、現実感を薄めてしまっていたと感じました。



 東都新聞に送られたFAXによる内部告発
 羊の目が塗りつぶされたイラストと共に、内閣府主導による特区への医療系大学の設置認可に関する資料が送付されます。

 官邸肝いりの案件であろう内容に彼女が調査に乗り出すわけですが、この内容は見事に加計学園問題を彷彿とさせるもので、ゾッとしましたね。

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 色々と調査して、経済特区を所管する都築への聞き込み等々も含めるも、なかなか謎解明の鍵は見つからず。
 なんやかんや紆余曲折を経て杉原と出会い、事件解明へ手掛かりを掴む、と。

 結構調査の部分は簡略化されて描かれていたイメージです。むしろ、同時並行的に進む政治問題への対処やSNSへの投稿の方がメインで描かれていたような気がします。



 レイプ事件を揉み消した件ではTwitterに自身の考えを文章で強く載せ、さらに事件を嗅ぎ回っていることが内調に知られても屈せずに前に進んでいました。

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内調官僚:杉原拓海

 

 もうひとりの主人公・杉原拓海。
 外務省から内調に出向するも、自身の正義観との間で大きく揺れる姿が描かれますが、最終的な決断は、本当に大きなものになりました。



 彼を通して描かれる内調の姿。

 レイプ事件では被害者と野党勢力が繋がっていた、という人物相関図を捏造し、Twitterに一般ユーザーになりすまして投稿し世論操作。さらに新聞や雑誌をつかった情報操作や、公安と連携した一般人の身辺調査まで。

 いわるゆた、「汚れ仕事」的なことが日常茶飯的に行われている現状、というものが描かれました。内調職員がロボットみたいな描かれ方をしたのには憤りを感じましたが、実際に行っていそうな内容に寒気がしました。

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 そして、外務省時代の上司・神埼の自殺。

 神埼は外務省当時も文書改竄の汚名をかぶり、そして今回も国家権力の圧力に殺された、と捉えられる人物なわけですが、死んでまで「情報」を公開しようとしていた点が本当に凄いと思います。

 内調で勤務する杉原にとって、自分が勤務する部署が尊敬する上司に泥をかぶせて殺したも同然の内容ですからめね。



 実際、どうなんでしょう?

 やっぱり官僚といえば自身の「昇進」を1番の利益と考える存在だし、「国家のため」でなく「所属省庁のため」という意識が強いのは事実です。

 そんな中で、実際に上司に抗議したり、情報をリークしたりする人間っているのでしょうか?



 あと、「出産」を巡る内容が怖い!

 なぜか内調上司の多田が妊娠を知っているし、破水による帝王切開という予定にない出産にも関わらず多田が出産祝いを渡すとか、本当に怖い。

 「俺は情報を持っている」ということを暗に伝える、マジで怖い男です。

 

 

 

 

事件の真相と結末

 

 若干飛びますが、吉岡と杉原が接触
 そして、吉岡は神埼宅へ赴き、そこで「羊の絵」の正体、さらに大学設置の真相に突き当たります。

 「羊」は「ダグウェイ」という米国で生物兵器の実験を行なう施設で起きた羊の大量死を扱ったノンフィクションの小説からで、神埼は新設医学系大学が軍事利用される、という最悪の事態を告発したかった、というもの。

 ダグウェイの事件は実際にあったもので、軍事オタクとかオカルトマニアなら聞いたことはあるのではないでしょうか?
 現実でも似たような話があったような気がします。大学の軍事利用に関しては、複数の大学が「自衛隊との提携をしない」との声明を発表したというニュースを見た記憶があります。

 ただ、なんで神埼はこんな回りくどいことをしたのか……。普通にその内容を明記すればよかったのに……。

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 しかし、まだ証拠が足らない。
 曖昧な状態で記事にすれば、すぐに政府によって「誤報」としてもみ消されるだけでなく、記者や会社の地位まで失墜しますから。

 そして、杉原が都築の執務室へ潜入。
 吉岡が外で足止め作戦を決行する間に、関連資料を入手し、吉岡の上司・陣野と内容の確認を行なう。

 杉原が「僕の実名を出してください」と決意を表し、陣野が「よし、いこう」とゴーサインを出した瞬間は、嬉しくって少し胸が熱くなりました!

 

 

 

 

ラストに関して

 

吉岡のスクープが新聞の一面に!
 こんなに大きく扱うとは思っておらずびっくりだし、陣野が「読売、朝日、毎日も追随している」と新聞社名の実名を出していたのには、さらに驚き!



 しかし、そう簡単は幕が降りず。

 多田に「お前じゃないよな」と伝えられる杉原。
情報の忘却を条件に外務省への帰還を提案されたり、吉岡にも電話をしたりと、最初から最後まで悪のボス的立ち位置は崩しませんでしたね。

 ラストは、官邸前交差点で。
 目が合う吉岡と杉原の2人、そして───。



 暗転と静寂。
 そしてエンドロール。

 最後がどうなったか、というのは観客自身が考えるんですね。個人的には、杉原もまた自殺をするというのが、映画的には1番の結末だろうと思います。けど、あの場所では死なないかもな……。



 あと、エンドクレジットを見ていて気が付きましたが、取材協力はやっぱり東京新聞なんですね。まぁ、原案が望月記者ですし。
 この映画に関しては、なかなかスポンサーがつかない、なんて話も聞きますが、フィルムパートナーは「朝日新聞」に「イオン」に「KADOKAWA」ですか。
 まあ、朝日新聞はハフポスト等で特集組んでるし、KADOKAWAは望月記者の書籍を出版してるし、(イオンは知らん)妥当メンバーなんですかね。

 

 

 


 

 

 

 最後に。
 この映画を観て、ある言葉が頭に浮かびました。

世の中に不満があるなら自分を変えろ。それが嫌なら耳と目を閉じ、口をつぐんで孤独に暮らせ。それも嫌なら…
攻殻機動隊S.A.C.1話「公安9課」


 アニメ『攻殻機動隊 SAC」の第一話冒頭で草薙素子が発するこの言葉。この台詞としても有名だし、サリンジャーの『ライ麦畑でつかまえて』が元であることも有名ですね。

 

 

 最後まで読んでくださり、
 本当にありがとうございました!!