【アニメ映画】『サイコパスSS Case.2 First Guardian』:刑事魂燃える濃密軍事サスペンス!
サイトを移転しました。
約3秒後に自動的にリダイレクトします。
※ネタバレなし。
※画像は予告映像のキャプチャです。
2019年2月15日鑑賞
PSYCHO-PASS サイコパス Sinners of the System
Case.2 First Guardian
【評価:3.9/5.0】
【一言】
征陸さんの刑事魂が静かに燃える!
軍隊内の描写は洋画ばり!
「PSYCHO-PASS」の設定は活かしつつも、一方で根幹が“もぬけの殻”感が否めず、残念だった。
『劇場版PSYCHO-PASS』にそっくり。
【Twitter140文字感想】
【サイコパスSS C2.First Guardian】
— ArA-1 (@1_ARA_1) 2019年2月16日
物語は常守朱が公安配属される前。
しかしTV版&劇場版の内容や設定を用いた重厚な展開と人物描写が見事!
《正義と信念》を胸に真実を追う征陸智己の刑事魂が静かな熱意を帯びて格好良い!
舞台は沖縄。
基地問題や軍事ドローンに触れるようで、ただただ凄い。 pic.twitter.com/57ZZqEVxMq
感想
感想外観
全3部の『サイコパスSS』のケース2!
主役である征陸智己さんの声を演じられた、有本欽隆さんが先日2月1日に亡くなられました。
心から、お悔やみ申し上げます。
では、映画の感想を!
とにかく、「とっつぁん」こと征陸執行官の正義と信念に裏打ちされた刑事魂が静かに熱くて格好良かったです!
自身の過去と現在にケジメを付けて、しっかり職務に向き合い、人生を掛けている姿が本当に渋くて強くて大好きです!
もう一人の主役、須郷徹平。
正直、TVシリーズでは必然的に、物語の展開的な流れに乗るように公安刑事課一係に配属されてて、でも存在感はある凄いキャラという認識でした。
今回、須郷さんのバックグラウンドが具体的に語られるため、彼のキャラクターにグッと深みが増しました!
これまで積み上げられてきた『PSYCHO-PASS』の作品世界観を存分に活用した作品に仕上がっていました!
従来通り、現代日本及び世界を非難し風刺するような設定や台詞が何度も登場し、作品の“強さ”を改めて実感しました。まさにタイムリーな話題!!
そして、物語それ自体も、時代設定が舞台がTVアニメ1期を跨ぐという事で、ファンに嬉しい内容でした!
軍隊の描写が本当に凄かった!
遠隔操作ドローンでの戦闘や、隊員同士の交信、さらには任務外での過ごし方などがリアル。
まるで、軍隊系の洋画を観ているよう!
何だか、『劇場版 PSYCHO-PASS』みたい。
それもそのはず、脚本家が本作SSも劇場版も共に「深見真」さんだからでしょう。
今回も、アクションは圧倒的!
軍パートでは、爆撃や銃撃戦などの派手な戦争行為が爆音と共に描写され、近未来兵器と旧型銃器との戦闘が激しくて凄い!
「刑事」としてのアクションも!
“猟犬”たる執行官による追跡劇やファイトシーンは確固たる意志が揺らいでて格好良い!
とっつぁんの刑事魂!
【渋くて格好良い】
そんな感想が第一に頭に浮かびました。
多くは語らず行動で示す、しかし時には言葉を荒げて信条を語り、刑事の勘と魂で事件解決へ向かうその背中が格好良い!
【正義と信念】
これは、劇中で征陸さんが放った言葉。
まさに、この言葉に集約されます!
犯人を追い、事件を解決する職務が掲げる「正義」を心に刻み、徹底的に捜査を貫く。そこにあるのは、長年の経験で培い学んだ「信念」なのでしょう。
絵に描いたような刑事キャラ。
真っ直ぐに真剣に、事件に向き合い、容疑者に向き合い、解決を切望する姿が印象的でした!
本作では「潔さ」を如実に感じました。
刑事として活躍した過去を抱えつつも、きちんと区切りと踏ん切りを付け、現在の自分に向かい合う姿。
過去と現在、自身と息子、権力と真実……様々なモノの板挟みになる中で、清々しいほど格好良く身の振りを決める征陸さんは潔かったです。
やはり、TVシリーズの影響は強いです。
詳しくは、後述します。
須郷徹平のバックグラウンド
本作の主役、須郷徹平。
彼が公安刑事課に配属される前の物語が描かれる本作は、つまるところ彼のバックグラウンドを語るストーリーといえます。
個人的には、非常に良く出来ていたと思いました!
そもそも、TVシリーズに彼が登場した時は、サラッと刑事課に執行官として配属されて、いつの間にか重要な立ち位置を占め、気づけば刑事課一係に所属するという展開。
それなのに、彼の背景は「ドローン関係」程度にしか語られず、モヤモヤしてた部分もあります。
今回、その部分に光が当たるというのは、非常に大きな意味を持ち、嬉しいです!
あの真面目な性格、筋肉質な体躯、強い精神、コンバット能力………などなど。
「なぜ?」が物語を解き進めるに連れて分かってきます。
彼のバックグラウンドを知れたことで、「須郷徹平」という人間の人物像をより深く感じることができました。
積み築き上げた物語で語る
まず、本作はTV1期の前の話です。
常守朱が配属される前の話ですから。
それでも、
・征陸智己が殉職するという事実
・征陸智己と宜野座伸元の関係
・征陸智己というキャラクターの人間性
などはTVシリーズ1期を通して視聴者は知っています。
そういう既存の“物語”を土台にしているという前提が確実に成立しているからこそ、たった60分でもこれだけの厚みが出せたのだと思います。
そして、相変わらずの現代風刺。
現代社会を痛烈に切り取り批判するような物語のキーポイントが本当に凄いし、この作品が大好きなところでもあります。
これらもまた、ここまでの積み重ねた設定や世界観があればこそのものです。
見事に作品にマッチする内容を、そして現代日本に刺さる内容を考えていると思います!(ってかマジでリアルタイムすぎる!)
本作の舞台は沖縄。
様々な問題が交錯する地点である以上、見る前から様々な想像ができます。(ネタバレになるのであえて書きませんが)
そして、舞台は沖縄。宜野座伸元の名字からもわかりますが、故郷が沖縄ということは容易に想像できます。そういう観点からも、物語の深度はさらに増します!!
『劇場版PSYCHO-PASS』は続編的な内容とはいえ、かなり独立的な物語でした。前作『サイコパスSS 1』はTV版を踏襲しつつも、やはりOVA的な物語。
しかし本作は、TV版の前後を上手く描いているようで、さらに言えば「描いていない部分を予感させるドラマ」まで込めていた点が秀逸だと感じました!
洋画のような軍事描写
軍隊の描写が秀でていました!
あ、『PSYCHO-PASS』の日本では「国防軍」という形になります。
何だか「おや、『劇場版PSYCHO-PASS』を観ている気分だぞ?」と思ったら、脚本を担当された方がどちらも深見さんでした! つまり、『劇場版〜』のクオリティの軍描写や戦闘描写が観られるというわけです!
シーアンこと東南アジア諸国連合のニコラス・ウォン率いる憲兵隊による攻撃等をイメージするのが1番近いと思います。
最新兵器を駆使し操る部隊、兵士間での通信や交信、軍上層部の意思決定機関、陰謀と秘密作戦、駒に使われる兵士、緊迫した現場……。
もちろんアーミー系に詳しくはないですが、細かく書き込まれた装備や操作画面等も含めて、雰囲気がバチバチ!
そこらのアニメではありえない、作り込み度で、まさに「洋画」のようでした!
ネタバレになるのでここでは書けませんが……。
他にも「おぉ!これは…!!」と思ったシーンがかなり序盤に2ヶ所ほど登場しました。コレを描いたらからこそ、より洋画らしく感じたのだと思います!
画面と音を活かした戦闘が凄い!
映画館で上映される『PSYCHO-PASS』。
アクションシーンに力を入れてきますね!
前作では宜野座執行官の体を張ったアクションが驚異的でしたが、本作では映画ならではの「大画面」と「大音量」を活かしたアクションシーンに仕上げています!
まず軍パート。
何となく予想つくでしょうけれど、大音量の音響がとにかく凄過ぎでビビります(笑)
戦争関係という事で、爆撃や爆発が多いためにその爆音が響き渡ってくるのは必然。その他にも、ドローンの離陸音が空気を切る甲高い音で耳が痛くなりました。
もちろん、戦闘描写もすごい!
個人的に良かったのは、「近未来vs旧」の対決です。ドローン等の最新近未来兵器を相手に戦うのは、旧式の戦車やアサルトライフルのような年代物の武器を持った敵兵士。このコントラストが非常に魅力的に映りました!
「刑事」としてのアクションも凄い!
前作の宜野座執行官は「刑事として」というよりも、「男としての対決」的な側面が強かった気がします。
一方、本作では『PSYCHO-PASS』本来のコンセプト通りであるような、刑事アクションが描かれます!
特筆すべきは執行官!
「猟犬」と称される彼らですが、まさにその名に相応しいが如く、狭い路地をくぐって敵を追う追跡劇や、敵との肉弾ファイトなど見せ場が盛り沢山!
女性監視官や執行官にはない、荒々しさと猛々しさがあって、懐かしさと嬉しさが込み上げてきました!
以降、映画本編のネタバレあり
映画の感想
※ネタバレあり
現代社会の風刺と非難
これ、マジで凄い!
まさにタイムリー過ぎる内容で、笑いが出そうになりました(笑)
今回描かれるのは、沖縄の基地問題・軍事ドローン問題の2つでしょう。
舞台となるのは、沖縄県。
日本国防省が管轄する名護基地(旧キャンプ・シュワブ)が舞台。
公開されたのが2月15日で、その2月24日に普天間基地移設に伴う名護市辺野古への新基地建設を巡る県民投票が行われるというこの状況!!
もちろん、沖縄の基地問題というのは以前からずっと議論されてきたわけですが、本作では日本政府が管轄する基地として名護基地が描かれるわけです。
「最低でも県外」なんて言っていた政党の姿は影も形も無く、堂々と日本政府による戦争最前線基地になっているわけです。本当にタイムリーすぎてヤバイ!!
さらに、名護基地に関して言えば、地下に米軍が秘密裏に建設した原子力潜水艦のドックが存在しているという設定。
現代日本で、米国の原子力潜水艦の寄港すら大きな反発運動が発生している中で、極秘裏に建設して常駐していたというのは、暴露されたら大きな反発に合うでしょうね(笑)
そしてもう一点が、軍事ドローン問題。
まぁ、これは日本というより米国等の外国軍隊が問題に上がることが多いと思います。
無人ドローンによる誤爆撃や、人間の遠隔操作による民間人の殺害などが問題となる中で、本作ではそれを取り入れた戦争が描かれているわけです。しかもFirst Guardianの航空支援に対して兵士が「完璧な爆撃だ」と称賛している部分がより印象的です。
一方で、救援物資かと思っていたものが化学兵器だったという衝撃的な事実が明かされます。「自分が何をしているのか分からない」という遠隔操作ならではの怖さが描かれていました。
これに加えて、「ドローンによるテロ」も劇中で発生。
東京マラソンや東京五輪で警戒されているテロ攻撃の1つなわけで、それを劇中で行っているというのがまた凄いです......。
主役2人の成長と過去の話は弱い
今回の主役はもちろん、征陸智己と須郷徹平。
彼らの物語は描かれるし、TVシリーズや劇場版の内容を補完するような過去の物語と、キャラ像を深く掘り下げるような内容が語られています。
よくあるOVA的な、付随的な内容では無くて、しっかりと物語全体に噛み合わさり食い込んだ内容なのが本当に凄い!
本作の最後に「征陸の殉職」や「須郷の色相悪化と転属、刑事課配属」などの展開が文字情報で投影されました。なんだか洋画の伝記映画や実話ドラマを観ている感覚に陥りました(笑)
でもしかし、それらの物語を補完するように本作本編が描かれ、観客は皆んなその情報が頭に入っているので必然的に物語の密度は濃くなるし、その上で”あの”ラストシーンでの情報投影というのは本当に良い演出だと思いました!
「過去を描く」という中で、全体を俯瞰すると「変化」の物語としてとても良かったと思います。
その一方で、「成長の物語」という点は弱い気がしました。
確かに過去の物語ではあるものの、その名護基地とフットスタンプ作戦を巡る物語であるため、一時点での内容は描かれるものの、その前後の物語は丸投げという印象でした。
前作『Case.1』では霜月監視官の成長やTVシリーズの何倍も格好いい宜野座さんの姿 が観られて嬉しかったです。でも今回はそういう点が少なかったかぁ~と。
洋画/洋ゲーのような軍事描写
軍事的な側面が強かった本作。
その1つ1つがリアルで洋画のように思えました!(とか書きつつ、リアルな軍隊なんて全然知らないのですが。)
まず、冒頭。
FGと地上部隊による隠密作戦が描かれる場面で、地上部隊が敵の見張りを狙撃するにあたり、水面に落ちる前に受け止めるシーンがありましたよね。
これは実際に特殊部隊のテクニックだそう。
以下の『ネイビーシールズ』という映画の予告冒頭に登場します。(この映画は現役の米海軍特殊部隊員が出演し、戦術や武器も本物!)
映画『ネイビーシールズ』予告編
それから、作戦や訓練後のやりとりも洋画らしい!
仲間内で集まってバーベキューしたりビールを飲んだりするシーンは様々な洋画で見受けられますし、基地周辺にある米兵の家ってBBQできるような庭付きが多いですしね。
また、ボクシングもそれっぽい!
戦友と拳を交えることで絆を深めていくというシーンも、沢山の映画や小説、ゲームとかで見聞きしたことある描写です。
指揮系統とかはどうなんでしょう?
大友大佐が「俺は駒でも構わない、軍隊とはそういうもの」という台詞と言っていましたが、実際のところ、軍人さんってどういう感情を抱いているんでしょう?
逆に、今回は須郷さんが上官に談判的なことをしていましたが、上下関係が厳しい軍隊の中で、そういう事ってあるんですかね?
TVシリーズ/劇場版との繋がり
ここは簡単に。
正直、縢秀星・狡噛慎也・(メガネ)宜野座の3人が登場したことに驚きを隠せなかったです!
TVシリーズ以前の話ではあったとしても、完全に沖縄で完結すると思っていたので、まさか彼らの姿がTV版のままに見られるとは思っていませんでした!
しかも、宜野座さんに関しては、前作『Case.1』であんな格好いい姿を見ていたので、あの眼鏡姿で陰気(?)な彼の様子には笑ってしまいました(笑)
しかしまぁ、相変わらず個性的なキャラクター達の姿が見られて嬉しいです!
っていうか、やっぱり朱が可愛すぎる!!
物語の最初。
外務省から出向してきた謎の美女・花城フレデリカが理由説明の際して「シーアンへの強制捜査が外交問題になりかねない」と言っていました。
前作『Case.1』でも霜月監視官が朱に対してこの事件のことを口にしていました。そして恐らく、次作『Case.3』でも関わってくるでしょう。
『劇場版 PSYCHO-PASS』の物語が非常に大きな役割を担っているのだと改めて気付かされました。まぁそもそも、「シビュラ体制の輸出」という行動自体が特異なケースである以上は当然のことなのでしょが、こうして前作、前前作と物語を積み重ねていくのが本当に上手だと感じました!
映画物語の感想
2116年、物語の序盤。
どうやって過去の物語に飛ばすのかと思っていたら、花城さんの出向と須藤執行官の勧誘という内容で、須郷の過去の経歴を話して、須郷自身の回想に入るのですね。
2112年。
人を殺しても色相が濁りにくいメンバーで構成されているドローン部隊について、大友大佐が須郷に対して「シビュラが認めた人殺し」という台詞を投げかけますが、非常に印象的でした。公安のドミネーターもまた、同じような構造ですからね。
そして遂に実戦。
「フットスタンプ作戦」において、軍上層部の嫌な雰囲気が漂う中、仕組まれたかのように弾薬数が予定と合わないドローン機。救援物資の投下だけで戦場を後にする須郷の苦しみが伝わってくるようでした。
その作戦の真実が明かされるのが、大友大佐の残したデータ。
救援物資が実はナノマシンを用いた化学兵器であり、敵は壊滅。味方を駒として扱うやり口には腹が立ちました。
テロの捜査。
名護基地に駆けつけたのは、公安の青柳監視官と征陸執行官。
完全にデジタル化された世界の中で、「刑事の勘」を頼りに捜査を勧め、容疑者と真実を見定めていく征陸さんの刑事としての姿が本当に格好良かったです!
さて、花城フレデリカさんは、一体何者なのでしょうか....。
外務省の実力行使部隊への参加を断った須郷に対して、「考えが変わらざるを得ない状況になる」と不穏な言葉を残しげて物語が終幕するわけですが、気になりすぎて眠れません!
【関連記事】
『サイコパスSS』三作の総まとめ感想はこちら ↓
「Case.1 罪と罰」の感想はこちら↓
「Case.3 恩讐の彼方に__」の感想はこちら↓
今回も主題歌は中野雅之さんのTV版のRemix Ver.!
どちらも本当に格好いい!!!
凛として時雨「abnormalize 」
EGOIST「All Alone With You」
3部作も残すところラスト!
長いようで、毎月公開というのはあっという間ですね! 『PSYCHO-PASS』熱が冷めぬ間に次の作品が公開されるというのは、嬉しいものです!
今回もパンフレットを購入、来場者特典をGET!
最後まで読んでくださり、
本当にありがとうございました!!