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【映画】『ボーダーライン: ソルジャーズ・デイ』:冷徹な緊張感でメキシコの麻薬戦争を描く。

 

 

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※ネタバレなし。
※画像は予告映像のキャプチャです。

2018年11月19日鑑賞

ボーダーライン: ソルジャーズ・デイ
(英題:Sicario: Day of the Soldado

 

 

 

【評価:4.7/5.0】

 
【一言】

ルールの無い、非情にして無情な戦争。
疲労と苦悩が刻まれたようなシワのある顔と鋭い目線。
握った拳銃の引き金を躊躇することなく引く兵士。
愛情と冷酷さに満ちた格好良い主人公2人!

 
【Twitter140文字感想】

 

 


 

 

目次&ストーリー&メモを表示

 

【目次】

 

 

ストーリー

 

アメリカ国内の商業施設で市民15人の命が奪われる自爆テロ事件が発生。 犯人一味がメキシコ経由で不法入国したと睨んだ政府は、 国境地帯で密入国ビジネスを仕切る麻薬カルテルを混乱に陥れる任務を、 CIA工作員のマット・グレイヴァー(ジョシュ・ブローリン)に命じる。

それを受けてマットは、 カルテルへの復讐に燃える旧知の暗殺者アレハンドロ(ベニチオ・デル・トロ)に協力を要請。 麻薬王の娘イサベル(イザベラ・モナー)を誘拐し、 カルテル同士の戦争を誘発しようと企てる。 しかしその極秘作戦は、 敵の奇襲やアメリカ政府の無慈悲な方針変更によって想定外の事態を招いてしまう。 メキシコの地で孤立を余儀なくされたアレハンドロは、 兵士としての任務と復讐心、そして人質として保護する少女の命の狭間で、 過酷なジレンマに直面していく……。

(公式サイトより)

予告動画

 

 


 

 

作品データメモ

監督: ステファノ・ソリマ
制作:ブラック・ラベル・メディア
キャスト: ベニシオ・デル・トロ, ジョシュ・ブローリン and more.
上映時間:122分
日本公開:2018年11月
配給:KADOKAWA
公式サイト

 

 

 


 

 

 

感想

 

感想外観

 

 前作『ボーダーライン』の続編という事で鑑賞!
 「ルール無き麻薬カルテルとの戦争」を描く本作は、現実と空想の間を描くようで、映画として非常に面白かったです!




 やはり特筆すべきは《戦争》のシーン。
 麻薬カルテルを潰すため、敵であれば躊躇なく引き金を絞り、射殺。

 相手がギャングだろうが、少年だろうが、汚職警官だろうが、持てる武力と戦力の全てを注いで倒す。 アクション映画のような派手さは無いけど、淡々とした“兵士”たる殺戮には目を奪われます。
Clean the Scene - Extended Film Clip(本編映像)




 ベニチオ・デル・トロジョシュ・ブローリン
 2人が演じる主人公の軍人2人が堪らなく格好良い!
 ちなみに、演じた2人はMCUに出演済みで、『アベンジャーズ/IW』でコレクター役とサノス役として共演してます!

 また、登場する少女を演じたイザベラ・モナーの演技が素晴らしかったです!




 《緊張》と《空気感》が最高!
 前作でもそうでしたが、「いつ襲撃されるか不明」という状況で周囲を警戒する緊張感が終始漂い、銃のグリップを握る手に力が入るのが伝わるよう。

 そして、米国とメキシコの国境に広がる砂漠地帯の乾燥して砂が舞うような空気感が映画の画面にまで現れていて、そこが個人的に好きな部分です!




 造り込み度が凄過ぎです!
 フィクションとドキュメンタリーを混ぜたような、実話と見紛うようなリアルさ(?)が本当に凄い!

 『アルゴ』とか『ゼロ・ダークサーティー』のような、実際の話を元に描く伝記的映画に似た雰囲気。
 メキシコにおける麻薬戦争のリアルな状況等を盛り込んでいるからこそ、描けるのだと思います。

 さらに、その上でアクション映画並の銃撃戦等が展開されるから、現実と空想の境界が曖昧になるように、惹き込まれていきます。

 

 

 

 

 

ルール無き《戦争》

 

 「メキシコの麻薬カルテルを壊滅させる」
 目標達成を目指すべく、少数精鋭を率いる2人の元、ルール無しの戦争が繰り広げられます。
 その様子は、本当に非情で無情で、無感情に任務を遂行していく兵士たちの姿が、格好良いです。


 命乞いをする相手に対し、「Adiós」と一言呟いて拳銃の弾倉が空になるまで弾を撃ち込むシーンが印象的です。(下の動画)

 敵が誰であれ──カルテルのメンバーでも、銃を持った少年でも、賄賂を受け取った汚職警官でも──任務の遂行の障害になるものは徹底的に排除していく様子は、まさに《戦争》。
『ソルジャーズ・デイ』本編映像―復讐―




 そして、その《戦争》に「ルール」はありません。
 あるのは「メキシコ国内でカルテルの内部分裂&対立戦争を引き起こす」という達成目標があるだけで、そこに至るまでの手段は不問。

 そこで彼らが計画したのが、「カルテルボスの娘を誘拐し対立組織の仕業に見せかける」というもの。
 カルテル壊滅という目的のため、少女を用いろうとする部分は、まさに「ルールなし」。
『ソルジャーズ・デイ』特別映像―戦争勃発―




 また、《戦闘》という部分でもパワーアップです。
 ハンドガンやライフル銃を用いた戦闘に加え、無人偵察機や戦闘ヘリでの襲撃など映画さながらのスケールで描かれます。

 そして、航空機等の描かれ方がまた格好良いんですよね〜!

 

 

 

 

 

キャストの豪華さ、素晴らしさ!

 

 本作で主演を務める2人ベニチオ・デル・トロジョシュ・ブローリン
 ベニチオ・デル・トロは、アカデミー賞助演男優賞や、カンヌ国際映画祭男優賞を受賞。 ジョシュ・ブローリンアカデミー賞助演男優賞にノミネートされています。

 彼ら2人が演じる主人公がとにかく格好良いんです!




 鋭い目つき、シワが刻まれた顔、堂々たる体格、漂う冷徹なオーラ、苦悩と疲労が交じる表情。 「渋い」というか「手強い」ような、映画の雰囲気を抜群に醸し出すとにかく凄い人です!
 拳銃を持って立っているだけで、サングラスを掛けて車を運転するだけで、ソファーに座っているだけで格好良いんですから、最後ですよ!




 ちなみに、演じた2人は最近だとマーベル作品が印象的で有名だと思います。
 デル・トロは『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』でコレクター役を。
 ブローリンは『アベンジャーズ』等数作でサノス役として出演。『デッドプール2』では悪役ケーブルを演じました。

 そんな2人、『アベンジャーズ/IW』で共演しましたね!………まぁネタバレなので内容は言いませんが、共にキーパーソン役ですから。



 キャストに関してもう一人。
 デル・トロらと行動することになる少女を演じたイザベラ・モナーがとても印象的でした。
 子役な訳ですが、彼女が演じる不安・恐怖・怒り・絶望……などの感情や表情の演技がとても見事で素晴らしかったです!

 今年は『ワンダー』や『プレデター』に出演した子役ジェイコブ・トレンブレイも印象的でしたし、子役が本当に凄いなぁ〜と。

 

 

 

 

圧倒的な《緊張》と《空気感》

 

 映画に満ちる《緊張感》が好きです。
 アクション映画みたいに「どうせ敵が攻撃するけどシュワちゃんが撃退だろw」という安易さは一切なく。

 メキシコ国境の無法地帯で、主人公達を取り巻く「いつ襲撃されるか」、「どこから攻撃されるか」、「勝てるのか負けるのか」……etc.という不確実性さ。




 そんな緊張感に縛られる兵士たちの様子が凄いです。
 特に、周囲の警戒を行う様子にその部分が表れていたと思います。

 (前作でも描かれましたが、)防弾仕様の軍用車両に乗り込み、隊列を組んで国境を超え道路を移動するシーン。
 常に無線で各部隊と連絡を取り、上空からの偵察映像に注意を払い、襲撃に備え銃に手を掛け、 周囲の警戒を怠らない。

 観ている私達も、緊張で拳を強く握りしめるような、強い緊張がひしと伝わってくるようでした。
『ボーダーライン』(前作)本編映像 -国境通過-




 シュワちゃんやロック様のように無敵で不死身のヒーローではなく、登場する兵士らは人間で、怪我をするし、恐怖も感じます。
 そういう人間的な部分もまた、「緊張感」を醸し出してたのだと思います。




 そして《空気感》。
 国境に広がる砂漠地帯が舞台で、照りつける日差しとか、巻き上がる砂埃とか、そういう乾燥してピリピリするような空気感が満ちていました。

 映画の雰囲気がたっぷり味わえるようで、個人的に好きな部分の1つでした!
『ボーダーライン』(前作)メイキング映像(音楽:砂漠からの鼓動)

 

 

 

 

 

物語のリアルな造り込み

 

 物語がリアルで凄いです。
 多分、そのリアルさは、メキシコにおける現実の状況をしっかりと組み込んでいるからだと思います。
 だからこそ、実話に基づいた『アルゴ』とか『ゼロ・ダークサーティー』のようなドキュメンタリー映画に思えてきます。
『ソルジャーズ・デイ』特別映像―究極の正義―




 例えば、前作。
 舞台の「フアレス」は米国との国境に位置する街で、麻薬戦争を語る上では外せない、有名な地域です。カルテル同士の対立に加え、治安維持組織(警察etc.)との戦闘も激しい危険地帯です。
 また、麻薬を米国に密輸する為に数キロにも及ぶトンネルを掘っている事も事実です。

 本作では、カルテルが取り仕切るメキシコから米国への密入国業の実態が描かれたりします。



 そうしたリアルな舞台設定が行われた上で、アクション映画さながらの銃撃戦や、緊張感MAXの行軍などが描かれるわけです。
 物語の組み立ても映画のような展開が広がる一方、背景にあるリアルさがそこを補強するように機能します。

 だからこそ、フィクションとドキュメンタリーを混ぜたような雰囲気を感じたんだと思います。

 

 

 

 

 

衝撃的展開に驚き!

 

ネタバレを表示

 

 前回も凄かったですが、本作はより凄かったです!
 やっぱり衝撃的なのはアレハンドロの処刑です。
 ヒーロー映画では必ず仲間が助けに来ますが、アレハンドロはあっけなく撃たれます。

 死んだと思いましたよ。
 まさか、頬を貫通したことで助かったとは。

 でも、「何で助かったんだ?」という残念さとかはなく、むしろ彼ほど生きる事に執着してる人間はいないと確信しました。



 上でも書きましたが、車列を組んでの移動中に発生した銃撃戦や、終盤のマット率いる部隊の襲撃など「見せ場」が本当に格好良かった!
 特殊部隊らしい、キビキビした動きと掛け声が印象的でした。



 凄いと思ったのは、イザベラの拉致。
 米国の関与が疑われないよう、イザベラに耳栓や覆面を被せた上で輸送し、アレハンドロらが米国麻薬取締局になりすまして、救出するという茶番。

 これ、本当に良くできていると思いましたよ!

 

 

 

 


 

 

 

以降、映画本編のネタバレあり

 

 

 

 


 

 

 

ネタバレあらすじ&感想

 

序盤

 

 テキサス州・メキシコとの国境。
 米国を目指す密入国者らが国境警備隊に発見され拘束される中、一人の男が爆弾により自爆を行った。




 ミズーリ州カンザスシティ
 とあるスーパーマーケットで、複数の男たちが爆弾による自爆テロを実行し、多数の死傷者をだす。



 ソマリア湾岸地域。
 テロへの報復に米国政府が全力を傾ける事を表明する中、米軍の特殊部隊はソマリアの海賊を取り仕切る人物を拘束。

 ジブチの米軍キャンプにおいて、捕えた人物を尋問し、テロリストが船による海上ルートでメキシコに入国したと結論付ける。

 

 

 

 

前半

 

 合衆国政府はテロリストがメキシコの麻薬カルテルの協力を得て米国に入ったという見解を示し、カルテルの壊滅の為、CIAのマットに白羽の矢を立てる。


 マットは「カルテルを内戦状態にする」という作戦を提案。
 大統領はカルテルをテロリスト指定し、今回はルールなしで自由に作戦を遂行できることに。
 作戦を実行するに当たり、マットはアレハンドロをチームに加えた。
Movie Clip – “Turning Alejandro Loose”




 メキシコシティ
 カルテルの内戦を引き起こすべく、アレハンドロ率いる部隊は白昼堂々とマタモロス・カルテルの幹部を襲撃し、殺害。 敵対するカルテルの仕業に見せかけた。
『ソルジャーズ・デイ』本編映像―復讐―




 さらにカルテルの対立を煽るべく、大きな支配力を持つレイエスカルテルのボスの娘イザベラを拉致。

 マタモロス・カルテルの報復に見せかける工作をすると、彼女に目隠しをして米国内へと輸送した。
Film Clip - "The Prize"




 拉致事件の米国関与を隠すため、麻薬取締局に扮したアレハンドロやマットらはイザベラの救出劇を偽装。
 そして、彼女をメキシコに輸送すべく、メキシコ警察と協力して移送車列を組み移動を開始する。

 

 

 

 

中盤

 

 しかしその輸送中、カルテルによる襲撃を受けたマットら。さらにメキシコ警察も裏切り奇襲を仕掛け、追い打ちをかけるようメキシコ連邦警察も攻撃を加えてきた。

 何とか敵を一掃してその場を制圧したマットら。
 しかし、車内に残したはずのイザベラが消えていた。
Clean the Scene - Extended Film Clip(本編映像)




 銃撃戦の恐怖に耐えかねたイザベラは、車外に出ると助けを求め砂漠を彷徨っていた。 彼女の失踪を受け、アレハンドロは自分一人で彼女を探す事に名乗りを上げる。



 イザベラを発見したアレハンドロは、そのまま国境へ向かいマットに回収してもらう計画だった。 途中で出会った聾の一家に食事と宿泊する場所を提供してもらう2人だった。




 ところが、メキシコ警官の殺害は大きな問題となり、マットは大統領から直々に作戦の中止命令を受ける。
 さらに、米国の関与を知るイザベラと工作員のアレハンドロを処分しろとの命令が下った。 

 

 

 

後半

 

 マットから事情を知らされたアレハンドロは、イザベラを米国へ不法入国させる方法を考え、カルテルによる密入国ルートを頼ることに。
 イザベラと親子であるという設定の下で料金を払い、その他の不法入国者達とともにバスに乗るアレハンドロ。
Movie Clip – “Get Rid Of Her”




 しかし、アレハンドロが米国人という事がバレてしまう。
 さらに、イザベラがカルロス・レイエスの娘であることも露呈してしまい、二人は縛り上げられる。



 アレハンドロは車から降ろされると、目隠しをしたまま跪かされ、そのまま顔に銃弾を撃ち込まれて処刑されてしまう。

 その様子を見ていたイザベラは、大きな絶望を抱えて放心状態となってしまう。



 アレハンドロとイザベラの排除命令を受け、部隊を編成しヘリコプターで国境へ向かかっていたマットは、その一部始終を衛星からのライブ映像で見ていた。

 そして、イザベラを連れたカルテルメンバーの乗る車列に追いつくと、その場にいた全員を射殺。




 しかしマットは、イザベラを殺す事なく、米国の証人保護プログラムを適用して助ける事に決めるのだった。

 一方、処刑されたはずのアレハンドロは、銃弾が頬を貫いただけで済、命は助かった。そのまま車を奪うと、街へと向かうのだった。



 1年後。
 復活したアレハンドロは、とあるショッピングモールで少年の前に姿を現すと「暗殺者になりたいか」と問いかけるのだった。



 タイトルバック。

 

 

 

 

 

 


 

 

 

 最後まで読んでくださり、
 本当にありがとうございました!!