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【映画】『バイス』:”影の合衆国大統領”=ディック・チェイニーはいかに絶大な権力を手にしたのか?

 

 

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※ネタバレなし。
※画像は予告映像のキャプチャです。

2019年4月5日鑑賞

バイス
Vice

映画『バイス』ポスター

 

【評価:4.6/5.0】

 
【一言】

「影の大統領」ディック・チェイニー。
絶大な権力を手に入れ、イラク戦争が開戦。
ワシントンを舞台に、現代まで連なる政治の展開がめちゃめちゃ"面白かった"!  

ってか、皆んな似すぎ!!

 
【Twitter140文字感想】

 

 


 

【目次】

 

 

ストーリー&メモを表示

 

STORY&STAFF

 

 1960年代半ば、酒癖の悪い青年チェイニーがのちに妻となる恋人リンに尻を叩かれ、政界への道を志す。
 ...[中略]...大統領首席補佐官、国防長官の職を経て、ジョージ・W・ブッシュ政権の副大統領に就任した彼は、いよいよ入念な準備のもとに“影の大統領”として振る舞い始める。2001年9月11日の同時多発テロ事件ではブッシュを差し置いて危機対応にあたり、あの悪名高きイラク戦争へと国を導いていく。
映画公式サイト

予告動画

 

監督:アダム・マッケイ
脚本:アダム・マッケイ
制作:アンナプルナ・ピクチャーズ
音楽: ニコラス・ブリテル
キャスト: クリスチャン・ベール, エイミー・アダムス and more.
上映時間:132分
日本公開:2019年4月5日
配給: ロングライド
公式サイト

 

 

 


 

 

 

映画の感想

 

感想外観

 

 観ようか迷っていた作品でしたが、めちゃめちゃ面白くて、映画館で、というか「今」観ることが出来てとても良かったです!

 ニュースをちょっと知っていれば、世界史を少し囓っていれば十分に楽しめる内容でした!

映画『バイス』画像© 2019 ANNAPURNA PICTURES, LLC.



 現在進行形の映画なのが本当に凄い!
 2019年4月現在、ディック・チェイニーはまだ存命。その他の大統領や閣僚もまだまだ最前線で発言力を持つ人々。

 さらに、9.11と対テロ戦争、イラク戦争を経た米国の状況は現在にも引き継がれ、それをまじまじと思い起こさせられます。

映画『バイス』画像© 2019 ANNAPURNA PICTURES, LLC.



 特に面白かったのは、登場人物!
 ニクソン大統領からオバマ大統領まで歴代の米国大統領が登場し、日本人でも知っている有名な官僚や企業、テログループ等のオンパレード。

 凄く豪華な点が観てて楽しかったし、何より「全員が激似」なんですよ!!



 権力の階段を駆け上る姿が凄い。
 いち職員だったディックがあまりにも絶大な権力を手にする過程が"映画並み"にテンポ良く進み、観ていて楽しかったです。

 米国政府の全権を裏で握ると言っても過言ではない状態が作り上げられていく様は必見! 

1分で分かる副大統領=バイスの心得




 個人的に1番良かったのは「イラク戦争開戦までの道程」「ジョージ.W.H.ブッシュ政権下でチェイニーがやった事」でした。

 1つの答えとして、イラクが大量破壊兵器を持つと名指しされ開戦に至った経緯が描かれ、とても興味深かったです。

 また、現代に通じ、大きな議論や話題を読んだ法律制定や法解釈を巡る問題がどんどん登場し、これまた非常に興味深ったです!

 

 

 

 

合衆国政治を現在進行形で描く

  

 この映画が凄いのは、米国政治をリアルタイムで描いている点だと感じました。
 だからこそこの映画は、「今」観るからこそ大きな意味があるのだと思います。



  2019年4月6日現在、ディック・チェイニーは78歳とまだ存命。その他に登場する大統領や閣僚、官僚もまだまだ現役だったり、引退しても大きな影響力を持つ人人々。

 さらに、9.11の惨事は現在でも大きな影を落としているし、それによるアフガン侵攻やイラク戦争の賛否や評価は今でも議論されているものでもあります(大半は「失敗」の評価)。
 こうした様々な問題をワシントンの裏舞台で操っていた人物がいたなんて、まるで『007』の映画並みですが、それが実話だから驚くべきことです。

映画『バイス』画像© 2019 ANNAPURNA PICTURES, LLC.



主な展開を取り上げても、
・2001:同時多発テロ
・  〃  :アフガン侵攻
・2002:イラク戦争
・2009:オバマ当選

と最近のことばかり。
 実際のニュース映像や事件記録はカラーだし、何度も見た内容だったりして、本当に身近に感じます。だからこそ、色々と考えるし、面白いんだろうな~と。決して「遠い過去の話」ではなく、ついこの間の出来事だから。

本編映像_9.11地下室でのシーン




 現在も存命の関係者と、大きな影響を与え続ける大事件。
 それらが描き出す米国の姿は、「今」の合衆国の姿───D.トランプ政権までを想起させ、この分断と混乱の時代だからこそ、政権の裏で行われている権力の駆け引きをコメディタッチで、ブラック・ユーモアたっぷりに描き出すことが必要なのかもしれないと強く感じました。

 映画を観ていれば、必ず、現在のトランプ政権にも視線を向けるような思考が頭の中に沸いてくるはずです。

 

 

 

 

米国政治を動かす豪華登場人物!

 

 今回は登場人物が凄かった!
 誰もが知っている大統領や、米国対外政策を担う学者たちが登場して、本当に豪華だし、なんだか興奮しました。

 なお、ディックは共和党側の人間なので、登場する人物もほとんどが共和党サイドの立場の人間です。(もちろん対抗馬とか対立する観点で民主党陣営も登場しますが)



 この「共和党」という部分が良かった!
 (事情を知らない日本人が書くのもなんですが、)共和党はどちらかというと右派寄りの政党と言って問題ないと思います。今のトランプ政権を見れば分かるように対外強硬姿勢を採る風潮があるわけです。

 なので、映画として面白い!
 語弊を恐れずに言えば、共和党寄りの人物はネオコン等の過激派が多いのでニュースになるし、学者や識者の名前も色々なところで目にするんですよ。キッシンジャーとかボルトンとか。

 だから、日本人でも知っている人が多いし、主張が大胆だから観ていて面白いんですよ。

映画『バイス』画像© 2019 ANNAPURNA PICTURES, LLC.



 登場人物が豪華!
・ニクソンや父子ブッシュなどの共和党系大統領、
・キッシンジャーやパウエルなどの顧問や官僚
・アルカイダとオサマ・ビンラディン
・PNACやCATO等のシンクタンク
・その他、世界最大の石油会社ハリバートンetc.

 少し列挙しただけでも分かる通り、歴史的にみても非常に重要なキャラクターが登場人物として計上されていることがわかります。
 それこそ、米国の歴史をなぞると言っても過言ではないほどで、非常に興味深かったです。



 ジョン・ボルトン氏が登場したのに驚き!
 ボルトン氏もまたイラク戦争開戦に大きな役割を果たした人物で、現在のトランプ政権で安全保障関連と担当し、北朝鮮問題等で強硬姿勢を取っている人物です。

 個人的にボルトンさんが好きなんですよ!
 思想面というより、そのキャラクターという意味ではあるのですが。彼の「ヒゲ」は可愛いし、彼の発言は過激で面白いんですよね。
 それでいて、国際政治学等の学問上でもかなり重要な位置を占めていて、外交理論も注目され、重要な人物。

 

 

 

 

権力の頂点に登り詰めた”影の大統領”

 

 映画の目玉で、面白かった部分が、ディック・チェイニーが権力の階段をどんどん登って副大統領になるまでの展開でした!

 漫画とか映画の「驚異の成り上がり」や「怒涛の躍進」を観ているようで面白かったし、その過程が描かれる事で怖さも感じました。

映画『バイス』画像© 2019 ANNAPURNA PICTURES, LLC.



 気がついたら絶対的な権力を手に入れていた。
 これが面白いところでもあり、怖いところでもあるわけです。

 普通、こういう物語は苦労話とか努力譚とかを挿入しがちじゃないですか。しかし本作は一切なし! まるで『007』の悪役のように”そこにいる”という状況が出来上がっているんです。下手に苦労話を見せつけられずに済むので、非常に見易いんですよね。

 同時に、そこが恐ろしいところだと実感します。
 補佐官や副大統領という誰も注目しない立ち位置に身を潜め、虎視眈々と権力基盤を気づいていき、大統領を凌ぐとも劣らない権力を自身の手中に収めるわけですが、そのこと誰も気が付きません。

 展開を俯瞰している映画の観客ですら気が付かないのですから、当時の米国民が気がつくなんてあり得ないでしょう。
 だからこそ、知らぬ間に権力が一人の人物に集中し、「影の大統領」と言われる人物が登場したのでしょうね。



 それから、その権力の使い方が凄い!
 我々庶民には「権力の使い方」なんて全く分かりませんが、ワシントンのホワイトカラーは知っているんですね。

 身の毛もよだつような、というか想像だに出来ない世界での意思決定や方針戦略が固められていて、本当に驚いたし怖いとも思いました。

特別映像_「ラムズフェルドとの悪巧み」編

 

 

 

 

アフガン侵攻とイラク戦争の真実

 

 簡単に両事件の説明を。

 2001年9月11日、テロリストにハイジャックされた飛行機がWTC他に激突した「同時多発テロ」が発生。G.Wブッシュ大統領は「ブッシュ・ドクトリン」と呼ばれる戦略展開を表明します。
 ブッシュ大統領は、9.11の犯行声明を出したアルカイダの潜伏地としてアフガニスタンへ軍事侵攻を実施し、タリバン政権を崩壊させました。

 対テロ戦争へ突入した米国は、イラクとタリバンの関係を証明する証拠を国連に提出し「大量破壊兵器を保持している」と訴えると、2003年3月に攻撃を開始。「イラク戦争」が始まりフセイン政権を打倒することに成功。
 しかし、大量破壊兵器の痕跡は見つからず、証拠も米国の捏造とされ、戦争は米国の失敗とみなされています。

というのが、「9.11」から「イラク戦争」までの流れの一般的な理解だと思います。


 この流れの裏でどういう意思決定がなされ、「米国の失敗」とまで言われたイラク戦争への道へと舵を切ることになったのかが描かれていて、非常に興味深かったです!

 ただし、事実に基づいた物語とはいえ、チェイニーは秘密主義であり、どこまでが真実なのかは注意深く考える必要があると思います。



 まず、「対テロ戦争」。
 オバマ政権まで続き、新しい戦争の形を提示したテロとの戦い。

 なぜ戦争になったのか? なぜテロリストとの戦いが戦争なのか? なぜリソースをそんなに割くのか? なぜ泥沼化したのか? 勝利と敗北とは?

 ニュースや歴史を観ていると湧き上がってくる様々な疑問に、一つの答えを提示していました。政治的な駆け引きや、国民へのメディア戦略など、様々な手法を見せつけられて、かなり強い恐怖心をいだきました。



 それから「イラク戦争」。
 日本も有志連合として参戦したので、決して他人事ではない話です。

 誰もが思うはず、「なんで大量破壊兵器存在なんて”嘘”が出てきたのか?」という疑問。 誰もがイラクの大量破壊兵器保持を信じ、核兵器や炭疽菌の存在を疑わず、戦争へと突き進んでいった現実が生まれた原因。

 この「理由」がこの映画で描かれたことで、「なるほどな」と思いました。慎重派のパウエルが国連演説をし、米国民が総出で支持した戦争の「理由」が描かれた点が非常に興味深かったです。

 

 

 

 

ディック・チェイニーの手腕

 

 チェイニーの仕事には本当に驚きました。
 大統領という表舞台ではなく、世間から注目されない裏舞台で数々のことを実行するその手法があまりにも生々しくて驚きました。



 まずは「法解釈」
 自身が望む執政府にするために、現行法やその上位の憲法が障壁になった時、チェイニーがとったのは、「法解釈の変更」でした。

 憲法や法律を拡大解釈し、自分の行動範囲や権限を広げていく様子、法律や規制が骨抜きにされていく様子に、これまた驚き。
 「ここまで出来てしまうんだ......」という恐怖で背筋が凍りました。



 それから、「メディア戦略」
 チェイニーは権力と世論の操り方を心得ていて、いかに国民の支持を取り付けるかの方法を見事に知っていました。

 表現方法を変えたり、ニュースを活用して国民に訴えたり。
 「こういう方法でイラク戦争へ向かったのか」という流れが手に取るように分かったのが面白かったです。

映画『バイス』画像© 2019 ANNAPURNA PICTURES, LLC.

 

 

 

 

チェイニーは悪い奴?

 

 チェイニーは悪い奴なんでしょうか?
 題名の「Vice」には「副」の他に「悪い」という意味もあるそうですが、果たして彼はそんなに悪い人物だったのでしょうか?

 詳しく知らないし、米国人でない日本人の私がこの映画だけを観て感じた感想としては「どちらとも言えないな~」という感想。(非常に日本人らしいww)

 確かにかなりの荒業で政策を進め、混乱に陥れたことは間違いないし、戦争によって多くの死者を出したことも事実です。
 しかし、権力に溺れていたかというと、あまりそうは感じませんでした。どちらかと言うと、自分の役目をしっかりわきまえて行動している印象がしました。映画のラストで放たれる台詞が強く頭に残っています!



 一応、この映画はブラックジョークとして売られています。
 あまりジョークの部分は分かりませんでしたが、笑えるシーンがあるのは事実! で。ネットで「ブラックジョークまとめ」を眺めていたら面白いジョークがあったので紹介!

映画『バイス』画像© 2019 ANNAPURNA PICTURES, LLC.

スターウォーズⅡにアラブ系の俳優が出てない事を不満に思った
フセインは、ブッシュに抗議した。

フセイン 「なぜアラブ系の俳優を使わない? これは差別だ。」
ブッシュ 「問題ない。 これは未来の物語だからだ。」
世界中のブラックジョーク集

 

トニー・ブレアとジャック・シラクとジョージ・ブッシュがある研究所に集められウソ発見器にかけられることになった。研究者が3人に言った。
「この椅子に座って日頃から考えていることを自由に喋ってください。
もしそれが嘘だったら、ビーッと音が鳴ります」

まず初めにブレアが装置を頭に付け、椅子に座った。
ブレアは言った。
「私はいつも考えています。イラクに真の平和が訪れればいいなと」
「ビーッビーッ」

次にシラクが座って喋り始めた。
「私はいつも考えています。イラクが豊かな国になって繁栄すればいいなと」
「ビーッビーッ」

最後にブッシュが椅子に座って喋り始めた。
「私はいつも考えています」
「ビーッビーッ」
世界中のブラックジョーク集

 

 

 

 

登場人物が皆んな激似!

 

 マジで。
 本当に登場人物全員が、史実の人物と瓜二つというか、そっくりで驚きました!

 クリスチャン・ベール演じるディック・チェイニーはWikipediaの写真そのまんま! 実際に髪の毛を剃って、体重もかなり増やしたそう。

 他にも、誰もが知っているG.Wブッシュその他歴代大統領、コリン・パウエルらは本人が出演しているのではないかと思うほどに精巧に似せられていて驚きました。
 しかも、映画には実際のニュース映像とかも挿入されるから、なおさら本物に見えてくるんです!!

 そりゃ、アカデミー賞で「メイクアップ&ヘアスタイル賞」を受賞しますよ!

クリスチャン・ベール_町山智浩氏インタビュー映像

 

 

 


 

 

 

以降、映画本編のネタバレあり

 

 

 


 

 

 

映画の感想
※ネタバレあり

 

2019年の現代に繋がる政治内容と事件

 

 個人的に一番面白いと感じたのはこの点でした。
 現役の政治家らが登場することは分かっていても、ここまで内容がリンクしているとは思っていなかったので、非常に驚きました!



 やっぱり「ドナルド・トランプ」の話。
 映画を観ていて、その存在は頭の中に浮かんでいましたが、まさかエンドロール後にほぼ名指し状態で登場するとはwwww

「この映画はリベラル偏向だ!」
「ヒラリー支持者め!」
『お前の選んだオレンジ顔の大統領が国を壊している』

 2人の会話が頭の中に残っています!



 一番興味深かったのは、「イスラム国(ISIS)」の件です。
 この物語に一切関係ないし、つい最近の出来事でもあるので扱われるとさえ思っていなかっただけに、「おぉ!」となりました(笑)

 イラク戦争でフセイン政権が崩壊し、シリア内戦で混乱、オバマ大統領による米軍撤退と混乱が続き、権力の空白地帯が生まれたその場所に誕生した「ISIS」。
 まさか、広い視野で見ると、この原因すらチェイニーが生み出していた点を知って衝撃的でした。流動化する国際社会においても、彼の影響がこんなにも大きいとは!

 (名前は忘れましたが、)パウエルの国連演説で個人名を連呼したことで、ISIS指導者としての立場が固まっていったというのは本当に皮肉な話です。



 あとは、「愛国者法(パトリオット法)」ですか。
 エドワード・スノーデン氏の暴露で世界が震撼し、米国政府も「盗聴をやめる」と表明したことで大きく話題になりました。

 これもまた、チェイニーが作らせた法律なんですね!

 

 

 

 

チェイニーの政治手法:戦争への道

 

 ディック・チェイニーの政治手腕は驚くべきものです。
 特に、情報メディアを活用して国と世論を動かし、戦争へと舵を切るその方法が凄かったです。

 上でも挙げた「なぜイラク戦争開戦に至った?」と「大量破壊兵器の証拠は?」という誰もが抱く疑問に答えを出していて、面白かったです。



 メデイア戦略
 対テロ戦争という「敵」の存在が曖昧な状況で、国民が納得し支持をするような表現を探す過程がとても良かったです。

 「テロリストが国家だったら戦争賛成?」という質問に対して、大きく頷き強い口調で憎しみを顕にする被験者の姿が象徴的でした。

 明確な敵がいることで国民が納得し、その敵としてイランを槍玉に挙げる、その方法が凄いです。



 それから、大量破壊兵器の件
 不確かな情報を証拠として掲げ、反証は大統領に届く前に握りつぶすという、「悪い奴」そのままでした......。
 しかし、それで一国の軍隊を動かして、国を攻撃することが出来るんだから、合衆国大統領って凄いですよ。

 自身の正義を貫こうとするパウエルさんが嫌々に国連で演説しなくてなはないらない状況になったのは可哀相でした......。

 

 

 

 

ジョーク、そして衝撃

 

 「ブラックジョーク」という趣旨で売られている作品。
 個人的にはあまりその観点は詳しく分からず。どちらかというと、完全に伝記映画的な見方をしていました。

 もちろん、時々クスっとなるシーンはありました。
 チェイニーがハリバートンのCEOになってハッピーエンドを迎えエンドロールが流れ出したところなんかは面白かったです。

 それでも、最後、エンドロール後の爆笑には敵わないです(笑)
 学歴高そうなヒラリー派男性と南部風のトランプ派男性が喧嘩する中、若い女性は「今度のワイルド・スピード楽しみ!」なんて言っているあのシーン。
 若者は政治に興味がないと言いたいんですかね。



 「衝撃」の方は何と言っても「交通事故」です。
 ナレーションのジェシー・プレモンスがランニング中に唐突に交通事故にあう場面は衝撃的過ぎて、思わず声を挙げてしまいました......。

「僕が説明する理由は後で分かる」と言っていて、てっきり文言通り遠い親戚とか家族かと思っていたら、そういうことか!

 心臓が悪いチェイニーの移植相手が彼だったということですね。

 

 

 

 

家族と動機の話

 

 チェイニーが権力を求めるようになったのが、若き当時恋人だったリンの影響だったのですね。それを考えると、片田舎の不良が副大統領にまで登り詰めたわけですから、相当ですよ。

 父親としての彼は好意的に描かれていました。
 この点は観ていて気持ちよかったです。もともと明るくポップ・テンポで描かれているので不快感とかはありませんが、「良き父親」というのはそれだけで嬉しいものです。

メイキング映像(少女に神対応!子供と遊ぶクリスチャン・ベール)<




 娘が同性愛者と発覚。
 「彼女にフラれた」と話す娘・メアリーについて、現代の私たちはすんなりと同性愛者なのだと受け取れますが、当時の、しかも共和党の政治家をしているチェイニーやリンにとっては重い告白だったと思います。

 それでも、「大丈夫」と優しくハグをするチェイニーの姿、そして娘のことを案じて選挙出馬を悩む姿、「娘が一番」と堂々と口にできる姿、本当に格好良いです。

 

 

 

 

最後のインタビュー「 」

 

 「私は謝らない」
 映画の最後で映されたインタビューのシーと、この一言が強く印象に残っています。

 政治に関心が無い国民が悪い。
 私は国の為政者として正しいことをしてきた。
 間違ったことはしていないし、謝罪はしない。

 これがどの程度の本心なのか、どこまでが本気なのか分かりませんが、凄く”強い”なぁと。でもこの気持ち、分からなくもないんですよね。

 

 

 


 

 

 

 

 最後まで読んでくださり、
 本当にありがとうございました!!

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